創作において物語を動かし、表現するキャラクターには、しばしば世界観や物語を象徴するデザインが適用されます。そこには本人の性格や服装、持ち物だけでなく、時にはキャラクター自身の「種族」も含まれており、動物などをモチーフにしたキャラクター造形も珍しいものではありません。
「獣人・擬人化 人外デザインのコツ」では、動物をベースとしたキャラクター造形の方法論とともに、キャラクターの作例を解説。擬人化の際に重要な特徴の捉え方やデフォルメの度合い、動き表現の「人らしさ」「動物らしさ」の出し方など、実際に物語の中でキャラクターを動かす上で把握しておくべきポイントを詳しく知ることができます。
著者は漫画作品「人馬」やゲーム「モンスターハンター」シリーズの3Dモデリング、キャラクターデザインなどに携わっている墨佳遼さん。
本記事では第二章「哺乳類の擬人化」より、「角のある動物」を擬人化する際のヒントを紹介します。
角のある動物から個性や特徴を考える
シカやヒツジなど強い印象を残す角のある動物。特徴にしやすい一方、その要素だけに引っ張られすぎないように性格や行動など他の部分とのバランスを取ることが大切です。
動物の角を活かしたアプローチ角はシルエットづくりに非常に強い要素です。シルエットにした時のインパクトも強いため、身体とのバランスにも注意しましょう。ボリュームや大きさを変えると、身体が華奢でも力強い印象が出せます。
このキャラクターでは、柔らかい材質の洋服を合わせて角の存在感や硬質感を際立たせています。
蹄もポイント。そのまま爪にしたり、蹄風の靴や手袋にしたりとアレンジが豊富にできますね。
形の違い
オオツノヒツジ
マーコール
ヘブリディアンシープ
生え方の違い
有名なのは以下の2種ですが、サイ科の中実角など全部で5種類あるとされています。
枝角タイプ
シカ科など。頭蓋骨とは別で成長すると伸び、季節によって抜け落ちることもある
洞角タイプ
ウシ科など。頭蓋骨の突起を軸に周囲をケラチンが覆い、抜け落ちない
角は「異質」の象徴であり、忌子(いむこ:大嘗祭や即位に奉仕する少女)は鬼子とも言います。また、男根や男性の性欲の強さを表すアイテムになったり、女性だと蛇になったりします。面白いのは、2本角だと動物感があるのに1本角にすると途端に異形感が出るところ。日本の「鬼」は有名ですよね。
角の位置と印象の違い
人外的
顔がよく見える位置
怪人的
顔に影響が大きく出る位置
怪獣的
顔の要素と言える位置
角と組み合わせると面白い特徴
角のある動物は他にも特徴的な構造を持っている場合があります。角だけでも十分強い印象ですが、組み合わせるとまた違った個性を作り出せます。
トナカイは白夜になると目の色が青紫になるそうです。わずかな光を得るためだそうですが、すごいですよね。