創作において物語を動かし、表現するキャラクターには、しばしば世界観や物語を象徴するデザインが適用されます。そこには本人の性格や服装、持ち物だけでなく、時にはキャラクター自身の「種族」も含まれており、動物などをモチーフにしたキャラクター造形も珍しいものではありません。
「獣人・擬人化 人外デザインのコツ」では、動物をベースとしたキャラクター造形の方法論とともに、キャラクターの作例を解説。擬人化の際に重要な特徴の捉え方やデフォルメの度合い、動き表現の「人らしさ」「動物らしさ」の出し方など、実際に物語の中でキャラクターを動かす上で把握しておくべきポイントを詳しく知ることができます。
著者は漫画作品「人馬」やゲーム「モンスターハンター」シリーズの3Dモデリング、キャラクターデザインなどに携わっている墨佳遼さん。
本記事では第二章「哺乳類の擬人化」より、「猫」を擬人化した例を紹介します。
猫をキャラクター化する(ケモミミの表現)
猫をモチーフに人感の強い「ケモミミ」をデザインします。特徴やキーワードから連想した要素を、どう置き換えればすてきなキャラクターになるのか。想像力と知識でより豊かな表現ができるようになりますよ。
メインクーン(猫)のガンマン
「猫」から連想される「すばやい」「柔軟」「ハンター」などのキーワードと、メインクーンがアメリカ産であることから、次の要素をイメージしました。
1. ハンター→スナイパー
2. スナイパー+アメリカ→西部劇
- 頬周辺の毛色や形を髭っぽくしてみる。
- 腰から上半身までの起き上がりを曲線で描く。
- どっしり、むっちりとした柔らかい筋肉。
ボリュームのある髪でメインクーンらしさを表現。髭の代わりに頬周辺の毛を近い形にし、シルエットの邪魔にならないように処理。性格は犬のように人懐っこいため、柔らかな表情かつ陽気で飄々とした雰囲気に。猫らしい「くにゃり」としたポーズに、しっかり地に足が付いたどっしり感を追加。
ハンター→スナイパーの要素から、遠距離から相棒をサポートする「狙撃の名手」に。普段に飄々としている雰囲気があればあるほど、ここぞ!という場面でハンター感がギャップを生みます。
アクセントカラーは目のブルー。目だけが青いと浮くため、ブーツの装飾にターコイズを用いて色を散らし、まとまりを出しました。
配色のコツ
キャラクターの性格や雰囲気は配色でも表現できます。面積の多くを占め、キャラクターの雰囲気を印象づける「ベースカラー」、全体を引き締める「メインカラー」、面積は少ないものの目立つ色で目を引く役割がある「アクセントカラー」に大別されます。メインカラーは明度の低い色を選ぶと効果が高いとされています。