人物が和服を着用した姿のことを一般に「和装」と呼びます。和服は着物(長着)と帯、袴や足袋などの要素を持った日本の伝統的な衣装ですが、映像作品や創作においては、キャラクターの衣装やファッションとして、和装をベースにアレンジしたコーディネートもよく見られます。
イラストレーター 神威なつきさんの著書「レトロモダンな和装の女の子 キャラクターデザインブック」では、和服の要素に「ファンタジー」や「花」などのテーマをかけあわせ、キャラクターの衣装として成立させるアイデアを多数収録。組み合わせたモチーフと合わせて、衣装を着たキャラクターの作例を掲載しています。衣装デザインのアイデア帳として、イラスト集としても楽しめる一冊です。
本記事では第3章「ファンタジー」より、「物の怪」をモチーフとした和装アレンジの例を紹介します。
物の怪
薔薇のイメージがあるので花言葉と組み合わせたデザインに。赤、青、黒の薔薇を用いて、色にキャラクターの性格を反映させます。
絵師×物の怪
デザイン意図
「天狗」は神とも妖怪ともいわれますが、人間と関わりのある話も多いため、人間の生活や文化に興味がある天狗の女の子をイメージしてデザイン。今では人間界で有名な絵師になっているという設定です。天狗の格好のもとである山伏の姿をベースにし、カジュアルファッションのテイストを入れてかわいらいくアレンジしています。
- 天狗の特徴でもある頭襟(頭巾)や結袈裟をデザインに取り入れている。
- 鴉のような黒い羽。
- 天狗の団扇(うちわ)をイメージした模様。
メイド×物の怪
デザイン意図
愛用の金棒で、悪さをする人間をしつける肉体派鬼メイドの設定です。メイド服をベースに着物風にアレンジ。右半分は正統派メイド、左半分は武闘派メイドのデザインにし、正と悪を表現。正がかわいらしさ、悪が怖さという印象にもつながります。地獄の鬼がもとになっているので着物の柄は「地獄絵図」のような柄に。かわいらしさと怖さを共存させたデザインにしています。
- 地獄絵図のような柄を袴の裾や着物の袖に入れている。
- 見た目は普通の下駄だが、実は鉄下駄という設定。
袴・着物柄
絵画調の地獄絵図と雲模様を合わせた着物柄。鱗模様も入れている。