「アジアンファンタジーな女の子のキャラクターデザインブック」では、特にアジアンテイストなファンタジー世界観に登場する女性の服装デザインをメインテーマに据え、アジア各地の伝統的な民族衣装をベースに、女性キャラを個性的でかわいく見せるアレンジのアイデアを多数収録しています。
民族衣装の基本的なスタイルの紹介にはじまり、現代において一般的な服装やファンタジー衣装、特定のモチーフが持つ要素をかけあわせながら、キャラクターデザインに反映する手順を章ごとに分けて、段階的に紹介。ほぼすべての衣装をフルカラーで収録しており、配色のアイデア帳としても使える一冊です。
本記事では第1章「アジアの民族衣装」より、伝統的な民族衣装の一例として、「琉装」「チュバ」「アオザイ」「ケミス」を紹介します。
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沖縄県の色鮮やかな伝統衣装「琉装」
琉装とは、沖縄がかつて琉球王国として栄えた時代に作られた伝統衣装のことです。気温が高い沖縄で快適に過ごすため、着物よりも袖が広く着付けもゆったりとしていて、風通しがよくなるように工夫されています。帯を締めずに腰紐1本で着付けられることが多く、そのスタイルはウシンチーと呼ばれます。
- 大きく鮮やかな花をモチーフにした花笠をかぶることも
- 赤や青や黄色などの華やかな色合いや、大きな模様が特徴的です
帯をきっちりと締めないので、後ろ姿はとてもゆったりとしたシルエットになります。
チベット人に広く愛されている民族衣装「チュバ」
チュバは長いコートで、裏地は耐久性と保温性に優れた羊の皮から作られています。サイズ感は大きくゆったりとしていて、袖口も広いのが特徴です。チベットは気候の変化が大きいため、それに対応できるよう調節のしやすい格好になったともいわれています。夜、睡眠する時の掛け布団として用いられることも。
- 金銀、珊瑚、トルコ石などを使った大きく豪華な装飾品を身に付けます
- 色鮮やかで、柄は花や龍などの刺繍がほどこされています
女性は、チュバの上からパンデンといわれるエプロンを着用する人も多いです。元々は既婚の女性が着るものとされていましたが、最近では未婚の女性でもファッションとして身に付ける人もいるそうです。
ベトナムの歴史ある鮮やかな正装着「アオザイ」
アオザイは、ぴったりとしたシルエットと優雅な布の動きが特徴的な民族衣装です。素材は、シルクやポリエステル、サテン、レーヨンなど多種多様です。刺繍はベトナムの伝統芸であることから、花、蝶、鳥などの刺繍入りのアオザイが人気となっています。可憐で品格があり、昔からベトナムの正装着として、多くの人に愛用されています。
- つめ襟が定番であり、刺繍やビーズが入ったものなど様々です
- 両脇のスリットは、ウエストから数センチほど上まで入っています
- クワンと呼ばれる直線的で体型を強調するパンツを着用します
伝統的な葉笠であるノンラーをかぶります。ベトナム全土で用いられる円錐形の、ラタニアの木の葉でできた帽子のことです。
アフガニスタンに住む遊牧民の民族衣装「ケミス」
ドレスを意味するケミスは、パンツを意味するバルトゥグを合わせるのが基本のスタイルです。鮮やかな色彩と細かい手刺繍やビーズ刺繍が特徴です。縫い付けられた刺繍の飾りは、衣装が古くなると新しいものに付け替えられ長く大切に使われてきました。美しい色彩の染織品は、身を守護し、家族の繁栄を祈り、民族の誇りを表わしています。
- ハイウエストなデザインは、女性のスタイルのよさを引き出します
- 大きく広がった袖にも鮮やかで細かい刺繍がほどこされます
胸元の細かく丁寧な刺繍は、ショートカットの女の子が着ると、より目立つ印象に。