大村祐里子の身近なものの撮り方辞典
第26回

絵になりやすくありふれた「雲」の写真。最高の一枚を撮るコツは「いつでも撮れるようにしておくこと」

ふだん写真は撮っているけれども、どうも納得できる写真が撮れない。そういう思いを抱く人は多いのではないでしょうか?写真家の大村祐里子さんは、フォトテクニックデジタルの連載「大村祐里子の身近なものの撮り方辞典」の中で、日常的な風景を独自の視点で見つめて写真作品をつくる方法を教えています。
第26回のテーマは「雲」です。

>この連載の他の記事はこちら
>前回の記事はこちら

撮影のポイント

1. 季節や天候、時間帯で変化する雲。いつでも撮影できるよう準備をしよう。
2. 広角レンズを使い、絞って撮ってディテールを表現。

富士フイルムFUJIFILM X100T レンズ焦点距離:23mm 35mm判換算:35mm相当 f16 1/125秒 ISO400 マルチ測光 WB:オート RAW

雲というのはメインの被写体にもなれますし、空を彩る「脇役」としても活躍できる万能な存在だと思います。この写真は、どちらかというと飛んでいる鳥を引き立てるために、雲をテクスチャとしてフレームに入れました。雲がなければ寂しい写真になっていたでしょうが、この通り、雲のおかげでなんだかドラマティックに仕上がりました。

いつでもすぐに撮れる準備を

雲は身近で絵になりやすい存在なので、おすすめの被写体です。しかし、手軽に撮れてしまうゆえに、世の中には雲の写真が大量に出回っており、その中でインパクトのある強烈な一枚を残すのは難しいとも言えます。時間や天気によって刻一刻と色や形が変わってしまうものでもあるので、満足のいく雲の写真を撮るためには、常にカメラを持ち歩き、ここぞ! という時にすぐ構えられるようにしておくことが、何よりも大切なことではないかと思います。

雲は広角レンズで絞って撮る

広い空に、広範囲にわたって散らばっていることが多い雲。よって、広角レンズで撮影した方が、狙った雲をきちんとフレーム内に収められる確率が上がります。また、雲のディテールをしっかり描いた方が、壮大さや迫力が出るので、絞って撮ることをおすすめします。さらに、飛行機の窓から撮影する雲も面白いです。いつも見上げているものが、眼下にあるというだけでだいぶ違った絵が撮れるはずです。私は飛行機の窓から見える雲が大好きです。

OLYMPUS PEN-F M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO 35mm判換算:34mm相当 f10 1/640秒 ISO200 324分割デジタルESP測光 WB:マニュアル RAW

宮古島で撮影した夕景です。日没直前、太陽が雲の後ろに隠れると、ハイライトとシャドウの明暗差が強く出て、雲の質感がよくわかるようになります。私はこの時間帯がとても好きです。刻一刻と変わる雲の質感をじっくり楽しむのも一興です。

キヤノンEOS 5D Mark IV Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZE f5.6 1/400秒 ISO400 評価測光 WB:マニュアル RAW

夏の日の夕暮れ時の一枚です。空に浮かぶ雲がとても不思議な形をしていて、雲というより、何かの模様のように見えて面白かったので思わずシャッターを切りました。「何かに見える」というアプローチで雲を撮影するのも面白いですね。

富士フイルムFUJIFILM X-T20 XF23mmF2 R WR 35mm判換算:35mm相当 f16 1/1000秒 ISO200 マルチ測光 WB:オート RAW

私の大好きな、飛行機の中からの一枚です。雲と雲に挟まれた空間は、普段、地上で生活していると見ることができない光景です。飛行機に乗ると、夜でない限り、離陸してからもずっと窓の外を眺めてしまいます。窓の反射と、白い雲が十字架のようにクロスしているところがドラマティックでいいなぁと思いました。


フォトテクニックデジタル 2019年5月号

 

著者プロフィール

大村 祐里子


(おおむら・ゆりこ)

1983年東京都生まれ
ハーベストタイム所属。雑誌、書籍、俳優、タレント、アーティスト写真の撮影など、さまざまなジャンルで活動中。雑誌連載:『フォトテクニックデジタル』にて「身近なものの撮り方辞典」を連載中。

ウェブサイト:YURIKO OMURA
ブログ:シャッターガール
Twitter:@Holy_Garden

関連記事