イラストレーションで人物を表現する際には、描き込むところや省略するところの取捨選択、デフォルメと写実のバランスを考える必要があるでしょう。とりわけ「美少女」のイラストを制作する場合は、デフォルメの中に写実的な要素を加えて描写することで、女性らしいセクシーさを表現できます。体の一部をあえて写実的に描写し、肉体の質感を表現するには、強調したい部位の「肌」をいかにリアルに塗り込むかがポイントです。
「美少女イラストのリアルな肌の塗り方」では、女性キャラクターの表現について「どこに注意したらリアルに見えるのか」を切り口とし、各パーツの描き方、そして塗り方を詳細に解説。体の各部位が持つ特徴を示しつつ、表情やポーズの作例も複数パターン用意しています。
本記事では、「2.頭部の塗り方」より「鼻」と「耳」の描写について抜粋します。
鼻・耳の塗り方を知ろう
鼻と耳は美少女イラストでは省略されがちなパーツの一つです。しかし、キャラクターの顔立ちや個性を左右するパーツです。出したい個性に合わせた塗り方を選びましょう。
鼻の基本を知る
鼻は特に省略や簡易化されることが多いパーツですが、省略の仕方で顔の印象は大きく変わります。基本的には光源に従い、ハイライトと影を描き込みましょう。
省略の例
耳の基本を知る
耳はとても複雑な形をしているので、凹凸に合わせて影を描き込むだけで情報量を十分出すことができます。主要な構造を覚えましょう。
ワンポイント
耳や鼻の表現は様々ですが、描き込み過ぎると悪目立ちし、くどい印象を与えてしまいます。絵柄に合わせて描き込みを調整していきましょう。
角度の違いによる鼻の表現
リアル寄りの鼻は角度によって描き方を変えることで立体感を出すことができます。デフォルメした点だけで描写する場合は、顔の角度が変わっても鼻の描き方が変わらないので、どの角度から見ても顔の印象は変わりません。以下、左がデフォルメ寄りの描写、右がリアル寄りの描写。
正面
光源に従いハイライトと影を描き込みます。
側面
鼻の下に少しだけ影を描き込みましょう。鼻孔は省きます。
下向き
鼻孔が見えなくなります。
上向き
鼻の下側にも影を描き込みます。
斜め
正面と同様に、光源に従いハイライト・影を描き込みます。
鼻の描き方は、年齢感に大きな影響を与えます。成熟した大人の女性はスラリとした鼻筋を描き込むことでセクシーな印象を演出することができます。低年齢の場合は、鼻筋や鼻孔を描写せず、シンプルな鼻先のみや点だけの方が可愛らしい印象になります。描くキャラクターの設定年齢に合わせた鼻の表現方法を研究しましょう。
距離による耳の略し方
耳はテイストの違いだけでなく、引きのイラストなのか寄りのイラストなのかの違いによって描き込み量を変えると、距離感をうまく演出することができます。
近距離
リアル寄りにし、描き込み量を増やします。
中距離
ある程度ディテールを省いた描き込み量にします。
遠距離
描き込み量はかなり減らし、情報量は最低限に絞ります。
鼻の塗り方
STEP1
光源を確認して、鼻の立体に合わせて影を置きましょう。
STEP2
鼻筋にハイライトを描き込みます。強い光やハイライトを強調したい場合、鼻の側面全体にハイライトを描き込むのも効果的です。
耳の塗り方
STEP1
光源を意識して、耳の構造に合わせて影を描き込みます。
STEP2
耳の情報量を上げる場合は、外耳孔（耳の穴）と段差の大きな部分にもう一段影を置きましょう。
