物語における女性キャラクター表現の中でも、ファンタジーの世界観を採用する実例は枚挙にいとまがありません。
「メルヘンファンタジーな女の子のキャラデザ&作画テクニック」は、ファンタジックな要素を含んだ物語に登場する女性キャラクターのデザイン方法を伝える趣旨のテクニック集です。
本書のタイトルにある「メルヘンファンタジー」とは、「童話」や「寓話」を意味する「メルヘン」と、超自然的な存在が登場する「ファンタジー」をかけ合わせた世界観を表現する造語。本書では「童話」、「花」、「スイーツ」、「空」の4テーマをベースのモチーフとして、イメージカラーや元となるモチーフが持つ要素をデザインに落とし込み「メルヘンファンタジー」世界に生きる女の子キャラクターを形づくる技術を指南します。
100を超えるカラフルでキュートなキャラクター案は見ているだけでも楽しく、イラスト集としても楽しめる本書ですが、現代の服装を「メルヘンファンタジー」風にアレンジする手法や、表情の描き分け方、イラストの詳細なメイキングについても言及しており、イラスト技術を学ぶ実用書としても十分な強度を持っています。
本記事では、デフォルメキャラの描き方について抜粋して解説します。
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デフォルメキャラクターの描き方
デフォルメはメルヘンファンタジーの世界観でよく使われる重要な手法です。
キャラクターの特徴を活かしながら、かわいくデフォルメするコツを紹介します。
デフォルメの基本
デフォルメをする際には、特徴となる小物を大きめに描いて強調するとよりかわいく見えます。この絵の場合、花のピン留めや胸元のリボンなどです。
5頭身(左)を2頭身(右)へ
- 目を大きくし、輪郭は横長にして丸みをつけることでかわいくなります。
- 縮尺が小さくなるので、フリルの数は減らして大きめに描きます。
ラフの描き方
デフォルメキャラクターを描く際にも、ラフはちゃんと描きます。とはいえ通常頭身ほど描き込みは多くなくても問題ありません。
まず最初にアタリを取ります。デフォルメは2頭身で描くことが多いです。
元となるキャラクターを見ながら、服の形をざっくり取っていきます。
小物や装飾などを描き込みます。線画が描きやすいように意識しましょう。
デフォルメ時の感情表現
デフォルメはキャラクターが小さいので、全身を使ってオーバーに感情を表現しましょう。
感情表現する際も、基本はアタリを取ってから描き込みます。
表情のデフォルメ
主に目、口、眉を変化させて表情をつけます。自分なりの喜怒哀楽のパターンを作っておくとバリエーションが描きやすくなります。
<玄光社の本>