ファンタジー衣装の描き方
第7回

東洋ファンタジー衣装 実在する衣装の要素をかけ合わせてファンタジー衣装をデザインする

ファンタジー衣装の描き方」では、ファンタジー世界観を持つ作品のキャラクターがまとう衣装のデザインを行う上での発想法と実例を掲載しています。

現代に実在する洋装と和装をベースに、ファンタジー風のアレンジを施す方向性。キャラクターの年齢や性別ごとに適切な服装を例示し、ディテール描写や髪型、小道具をデザインする際の留意点にも言及しており、作画資料としてだけでなく、発想をつなげて新たな装いを生み出す楽しさも学べる一冊です。

本記事ではChapter4「衣装のアイデア」より、「東洋ファンタジー衣装」のアイデアを抜粋してご紹介します。

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ファンタジー衣装の描き方

東洋ファンタジー衣装

日本、中国などの東洋を舞台とした文化の衣装をファンタジーにデザインするアイデアの掛け合わせ見本です。東洋の衣装の多くは現代の衣服と構造が異なるため、資料があると便利です。

【大正ロマン×軍服】

着物は基本的に直線縫いのみでできています。そのため直線の袖の着物に対して曲線の洋服袖はつきません。アレンジがしにくいのでシルエットが似ている漢服を参考にデザイン。

  • ベルト通しをデザインすることで、袖口の飾りのベルトが成立します。
  • 漢服には身頃(袖や襟をのぞく全体部分)の脇が曲線にえぐれているものがあります。着物の脇は直角です。
  • やや俯瞰のアングルで描く時は少ししか見えなくても中に着用しているものもしっかり描きましょう。省くか省かないかで洋服全体のイメージが変わります。
正面

桜のように全体的にふわっとした可愛いイメージにまとめたかったのでピンク系でまとめることに。袴の赤もオレンジ寄りだと浮いてしまうのでトップのピンクに合わせた赤紫寄りに。全体的にしまりがないので対照色に近い差し色で鮮やかな青緑を。対照色はバランスよく配色がまとまります。

背面

【書生×軍服】

書生スタイルを描いてから、もっとクラシカルな雰囲気にならないかと模索しアイテムを組み合わせることでこのデザインに。

  • 振袖をふわっとしている様子を表現するため、ポーズは走っていて急に止まり慌てているような、コミカルな動きで描いています。
  • プリーツは折り線のみ表現しましょう。
正面

差し色に日本の伝統色の紫をプラス。ソールの裏にも施して違和感なくアピール。

背面

東洋ファンタジー・女性編

【和服×サンタクロース】

サンタクロースの衣装をイメージ。帯の後ろはバックルつきリボンに。着物とサンタクロースの衣装の類似点を探して連想しています。

  • アウトラインを小さな波で描くことで毛足の短いファーとして表現できます。
  • 着物は体にぴったり密着するので座った時に、体の動きに合わせて斜めにシワが寄ります。
ラフ

ラフではサンタクロースの赤色衣装にしましたが、ストレートすぎるのでボツに。ホワイトクリスマスをイメージしたデザイン。

正面

着物の差し色にはグリーンを入れるなどささやかに。金具や帯、靴の色を合わせています。帯はベルトのバックルを使用するデザイン。

背面

東洋ファンタジー・男性編

【燕尾服×アラジン】

ベストからの発想で、執事キャラに設定。ベストをキーアイテムにして連想し、衣装にアラジンの要素を盛り込んだデザインにしています。

  • 帽子を少し後ろにかぶっているのがわかるように、前髪の盛り上がりを描きます。
  • 左右の足に引っぱられてサルエルのパンツの股の間に、引っ張りシワが出ます。
ラフ

執事のフォーマル感を出すために服装の色はモノトーンに、装飾品もシルバーを採用することで落ち着いた雰囲気を表現しています。

正面

手袋を七分丈にして重くない印象に。髪色も合わせてモノトーンに。燕尾服の特徴をベストに活用して長く、スリットを入れてデザインします。

背面

 


<玄光社の本>

ファンタジー衣装の描き方

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