私たちにとって、日々の食事を写真に残すことは日常的な行動の1つになりました。食事を写真に撮る目的は特別な日の記録から健康の維持、店舗提供メニュー制作まで様々ですが、せっかく撮るならばできるだけきれいに残したいもの。とはいえ用意できる機材やスペースにも限りはあり、悩ましいところです。
「スイーツ&料理写真のアイデア帳」ではフードフォトをメインテーマとし、カメラ、三脚、ストロボ/LEDライト各2灯とソフトボックスという基本的な機材をベースに、窓からの自然光や手作りの補助ライティングアイテムを活用して、レタッチを含む様々な工夫を凝らした多種多様なライティングを学ぶことができます。
“光とスタイリングを工夫すれば、狭い部屋で限られた機材でも、楽しく素敵にフードフォトを撮れることをお伝えしたくて、この本をまとめました。みなさんのおいしくて楽しいフードフォトのヒントになれば嬉しいです”(「はじめに」より引用)
本記事ではChapter1「フードフォトの基本」より、実際にフードフォトを撮るまでの基本的な流れと考え方を説明します。
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フードフォトを撮るまでの流れ
スイーツや料理を魅力的に写すフードフォト。自分で作ったスイーツをより素敵に残すために、こんなことを考えています。
「おいしそう」だけでなく、「絵画」のように写真を残す
フードフォトは、テーブルの上に食べ物を置き、角度や光、スタイリングで食べ物を引き立たせて撮る写真です。おいしそうに撮るのは大前提なのですが、私はそれに加えて、「絵画」のようにデザイン性のある写真にしたいと考えています。ですから、「こんな絵に仕上げたい」というイメージが先にあり、それを形にするためにスタイリングと光を整えていきます。スタイリングが思い浮かばないときは、ピンタレストなどを見ていいなと思ったフードフォトを参考にします。狙い通りの世界ができあがったときや、思ったよりもおいしそうに撮れたときの喜びはひとしおです。

STEP1:撮りたいもの、食べたいものを作ったり買ったりする
撮りたいものは買うこともありますが、イメージしたスイーツを自分で作ることが多いです。スーパーで材料を買うときは、なるべく色や形が綺麗で質の良いものをチョイス。撮ったあとにおいしくいただくので、撮影のためだけに見栄えを良くするための細工は滅多にしません。
STEP2:イメージが浮かばないときはピンタレストでフード名を検索
撮りたいフードとイメージがなんとなく決まっている場合は、ピンタレストで「被写体名 イメージ」と入れて検索。たとえば「高級感のあるプリン」なら、「プリン 高級」と検索すると、関連する画像がたくさん出てきます。スタイリングや光、構図、背景などを参考に。
STEP3:光を見て場所を決めライティングをイメージ
どんな光で撮影するかを決めます。自然光の場合は窓際に設置。光量が足りない場合や光の雰囲気を作り込みたいときは、ライティングを組んでいきます。撮影する場所が決まったら、STEP4でスタイリングをしてからライティングを詰めていきます。
STEP4:背景や小物を配置し撮影しながら調整していく
スタイリングは全体の雰囲気が決まる背景から。構図は何パターンか撮りますが、メインカットは俯瞰、斜め、横かは決めておきます。フードに合うお皿やカトラリーを配置し、最後に本や植物を必要に応じて追加。実際に撮影しながら、小物や光を調整していきます。
