アニメキャラクターの作画&デザインテクニック
第3回

パーツを意識してキャラクターの特徴を際立たせる

「アニメキャラクターの作画&デザインテクニック」は、アニメーター・羽山淳一さんが考えたオリジナルストーリーに沿ってキャラクターデザインを考えていく形式で、キャラクターごとの特徴を最大限に発揮させるための描き分けの方法などを紹介しています。

第3回は、目・口元・指先など、パーツを意識してキャラクターの特徴を引き立てるテクニック。また、必要のないものは敢えて描かないという引き算のテクニックも紹介します。

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アニメキャラクターの作画&デザインテクニック

パーツで考える キャラクターの特徴

キャラクターの特徴はパーツの描き方によって左右されます。さらに知っておくべき羽山淳一オリジナルのテクニックなどを紹介します。

■善悪での目の比較

▽善タイプ

▽悪タイプ

善悪で対照的なキャラクターの目を比較してみたものです。同じ一重の目でも、悪役の場合は吊り上がっていて、鋭い眼光に。女性のキャラクターも同様に切れ長の目になっています。悪役の場合はちょっとブサイクな感じでも大丈夫。一番下の目を比べたときに、善タイプはどちらかというとかわいい感じになっているのに対し、悪タイプはちょっと怪物チックに極端に表現しています。

■瞳の大きさを考える

人間の眼球の大きさは、みんなほぼ同じなのですが、まぶたや骨格の形状でそれぞれの目の形状に違いができています。なので、身体が大きい人は目が小さくなりがちで、身体が小さい人は目が大きくなりがちと、リアリティのあるキャラクターを作るなら、そういったことも覚えておくといいですよ。

■口元の表情をうまく使う

唇の筋肉などを考え、口元に様々な表情をつけることで、表情の幅が広がります。こういった唇の筋肉の構造なども、美術解剖図などを参考に研究してみてください。

■普段気にならないものは描かない

例えば瞳を描く場合、リアルになりすぎると気持ち悪くなる場合もあり、描きやすさと見映えがポイント。普段見ていても目に止まらない影とかシワなど、無駄なディテールは描かなくてもいいでしょう。

赤い部分がディテールを描き込んでいる部分で、瞳の中の模様や複雑な影、下のまぶたとまつ毛の間のフチなど。

実際には、よくみると存在するものですが、描き込むとリアルになりすぎて、アニメには向きません。クローズアップ時とロングショット時でディテールの使い分けをしましょう。

この瞳は、線を減らして簡素化したもの。

 

■耳など印象に残らないところは省略して描く

耳は本来複雑な形状をしていますが、印象に残らないパーツなので、動画になることを考えて省略して描きます。

■指先の演技も重要

指先で表現する演技もあります。指先の表情ひとつでエレガントさを表現したり、なにかを操作する指先に優雅さを表現したり、キャラクターの性格に合わせて、指先の使い方も考えてみましょう。

■お面で考える応用テクニック

お面を想定して描くと、顔の向きや角度が描きやすい。これは独自に考えたテクニック。自分なりの描きやすい方法論を追求してみましょう。

>第4回につづく

 


<玄光社の本>

アニメキャラクターの作画&デザインテクニック

 

著者プロフィール

羽山 淳一

(はやま・じゅんいち)
アニメーター、キャラクターデザイナー。

1965年、長野県出身。
高校卒業後ムッシュ・オニオン・プロダクションに入社。
『Gu-Guガンモ』(1984年)で動画デビュー。
『は~いステップジュン』(1985年)で原画デビュー。
『北斗の拳』(1987年)で作画監督デビュー。
『BE-BOP HIGHSCHOOL』(1989年)でキャラクターデザイン、デビュー。
1990年フリーランスとして独立。

書籍(玄光社):
アニメキャラクターの作画&デザインテクニック
羽山淳一 ブラッシュワーク
羽山淳一 アニメーターズ・スケッチ

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