アニメキャラクターの作画&デザインテクニック
第2回

表情を考えて顔を描く

「アニメキャラクターの作画&デザインテクニック」は、アニメーター・羽山淳一さんが考えたオリジナルストーリーに沿ってキャラクターデザインを考えていく形式で、キャラクターごとの特徴を最大限に発揮させるための描き分けの方法などを紹介しています。

今回は、キャラクターに生命を与える「顔」の描き方。男性・女性の描き方の違い、頭蓋骨や筋肉の構造を意識した描き方など、いきいきとした表情を描く基本ワザを解説します。

アニメキャラクターの作画&デザインテクニック第2回

キャラクターデザインする際に様々な表情をつけることも想定してデザインしましょう。後で表情がつけにくくならないように目の大きさや鼻の形状、口の位置など表情をいろいろ想定して、デザインしておきましょう。

顔の描き方(男性編)

■顔も頭蓋骨を想定して描こう


体格だけではなく頭部も骨格を考えて描きます。目、鼻、口の位置はバランスを考えて描きましょう。ただし、必ずしも骨格に忠実に描くわけではなく、あくまでも参考程度に知っておくべきこととして捉えておきましょう。男性の場合は女性と違って、まつ毛が長くなったり、線がやわらかくなりすぎないように注意。

■唇の筋肉で表情が豊かになる

意外と見落とされがちなのが、唇の筋肉の動きを使った表情です。唇を使って繊細に表情の変化をつけることができるので、唇の筋肉の構造をよく理解して、効果的に使いましょう。

■様々な表情を想定しておこう

驚いたり、ムスっとしたり、不満な表情、笑顔、ニンマリしているところ、ちょっと怒った感じなど様々な表情を想定して描いています。眉毛の上下や目や口の開け具合で、表情を作っていきます。男性の場合、大袈裟な表現でも違和感はありませんが、キャラクターに合った表情に注意しましょう。

■間違いやすい口の描き方

口を描くとき間違いやすいパターンとして、下の歯がみえるように描いてしまう人が多いようです。これは思い込みです。

口を開けたとき唇が引っ張られ、下の歯は唇に隠れてしまいます。構造的には前歯がみえるほうが自然です。


顔の描き方(女性編)

女性は男性と比べてディテールが複雑になりすぎないように、線を少なめに描くことが重要。例えばほうれい線などのシワにみえるようなものは、実際にはある要素ですが、あえて省略するべきです。

■女性はやわらかい線で描く

女性の場合も頭蓋骨の構造に注意して描きますが、ディテールが複雑にならないように、シンプルでやわらかい線で描きましょう。ほうれい線を描いてしまうと老けてみえたり、顎のラインを複雑に描くと女性らしさを失う場合があるので注意しましょう。

■男性に比べて動きは小さく

男性キャラクターに比べて、眉や唇の動きは小さく下品にならないようにしましょう。

■まつ毛は重要パーツ

女性キャラクターにとって、まつ毛は女性らしくみせる重要なパーツです。このまつ毛の形状が目を閉じたとき、どのようにみえるか、また髪の毛を透けてみえるかなどキャラクター設定表(*)にしっかり描いておく必要があります。

(*)キャラクター設定表
キャラクターの全身像、顔など基本的な設定を表記した資料。キャラクターデザイン担当者が必ず用意する資料です。これを元に原画が描かれ、動画になっていくので、重要な資料になります。

■女性は品のある表情を

大口を開けたり、眉間にシワが寄るような品のない表情は避けましょう。怒ったり笑ったりする表情も女性の場合は大袈裟にならないように、上品に表現してください。少し唇をゆがめ、眉を少し上げる程度でも怒っている表情を表現できます。

■眉毛は鼻筋の延長線上に

眉毛は目にくっついたり、離れすぎた状態で描く人がいますが、鼻筋の延長線上に描くようにしましょう。また唇を頂点に逆三角形ができるように補助線を引き、目の幅などに注意しましょう。

バランスが悪いと目が近すぎたり、眉の位置にリアリティがなかったりします。

<第3回につづく>


アニメキャラクターの作画&デザインテクニック

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著者プロフィール

羽山 淳一

(はやま・じゅんいち)
アニメーター、キャラクターデザイナー。

1965年、長野県出身。
高校卒業後ムッシュ・オニオン・プロダクションに入社。
『Gu-Guガンモ』(1984年)で動画デビュー。
『は~いステップジュン』(1985年)で原画デビュー。
『北斗の拳』(1987年)で作画監督デビュー。
『BE-BOP HIGHSCHOOL』(1989年)でキャラクターデザイン、デビュー。
1990年フリーランスとして独立。

書籍(玄光社):
アニメキャラクターの作画&デザインテクニック
羽山淳一 ブラッシュワーク


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