大村祐里子の身近なものの撮り方辞典
第53回

妙な場所にいる「猫」を撮るおもしろさ

ふだん写真は撮っているけれども、どうも納得できる写真が撮れない。そういう思いを抱く人は多いのではないでしょうか?写真家の大村祐里子さんは、フォトテクニックデジタルの連載「大村祐里子の身近なものの撮り方辞典」の中で、日常的な風景を独自の視点で見つめて写真作品をつくる方法を教えています。

「身近なものを作品にする」大村祐里子さんの撮り方辞典、第53回のテーマは「猫」です。

大村祐里子の身近なものの撮り方辞典」が書籍にまとまりました。本連載で取り扱ったテーマに加えて、新たに「クレーン」「炭酸」「排水溝」など合計100テーマを収録。日常の中で目にする、しかし被写体としてはあまり気に留めない様々なモノたちを記録する一つの視点を提案します。

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身近なものの撮り方辞典

撮影のポイント

1. 「なぜそんなところにいるのか?」というシチュエーションで猫を捉えてみよう。
2. 動物の顔認識や瞳認識ができるミラーレス機があると便利。

ソニーα6400 タムロン 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD レンズ焦点距離:43mm 35mm判換算焦点距離:64mm相当 f3.5 1/800秒 ISO100 WB:マニュアル RAW

塀の上で日向ぼっこをしている猫を見つけたので、動きがスローになったところを見計らって撮りました。ちょっと引いて、手前に咲いているピンクのかわいいお花も画面に入れてみました。

意外な場所の猫を見つけて!

猫の良さは、思わず「えっ、なんでそんなところにいるの!?」とビックリしてしまうようなところだと考えています。塀の上、屋根の上、壺の中…信じられないような場所に潜んでいる猫を見つけて驚くことは少なくありません。私はいつも、猫の「えっ、なんでそんなところにいるの!?」という感じを写せたらいいなと思っています。もちろん、近づいて正面から撮ってもかわいいのですが、一風変わったシチュエーションに佇む猫を発見したらシャッターを切ってみましょう。

注意と観察と瞬発力が大事

猫の撮影は観察眼が命です! 屋外で撮影する場合は、猫の多そうなゾーンに入ったら、できるだけキョロキョロと周りを見回してみましょう。普段はあまり注目しないような、屋根の上や、壁と壁との隙間や、植え込みの中などを重点的に観察しましょう。思わぬ場所に猫が潜んでいて、面白い写真を撮れることがあります。ちゃんと猫にピントを合わせたい! という方は、動物(犬、猫、機種によっては鳥も)瞳認識ができるミラーレス機を使用すると良いでしょう。

MAMIYA UNIVERSAL PRESS SEKOR 100mm F3.5 Polaroid Originals Color Film

屋根の上に佇む黒猫が、なんだか絵本の1ページのようでいいなと思いました。不思議さを出すために、ポラロイドで撮って、少し色褪せたテイストにしてみました。

Rolleiflex F2.8 Xenotar F2.8 Kodak PORTRA 800

絨毯の上でグダッとしている猫です。かわいらしくはないのですが(笑)、顔が床にめり込んでいるような感じが良かったので、猫と同じ目線からカメラを構えてみました。猫はこういう表情の変化があるところも、魅力的なポイントのひとつですね。

ソニーα6400 タムロン 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD レンズ焦点距離:43mm 35mm判換算焦点距離:64mm相当 f2.8 1/2000秒 ISO100 WB:マニュアル RAW

つい見落としてしまいそうですが…ふと上を見上げたら、エアコンの室外機の上に猫がいたので慌てて撮りました。こんなところにすぐ登れるなんて、本当にすごいです。日常の光景の中に馴染む猫もいいですね。


身近なものの撮り方辞典

著者プロフィール

大村 祐里子


(おおむら・ゆりこ)

1983年東京都生まれ
ハーベストタイム所属。雑誌、書籍、俳優、タレント、アーティスト写真の撮影など、さまざまなジャンルで活動中。著書「フィルムカメラ・スタートブック」、「身近なものの撮り方辞典100

ウェブサイト:YURIKO OMURA
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