アニメ『北斗の拳』『ジョジョの奇妙な冒険』『魁!!男塾』『ボトムズファインダー』などの作画やキャラクターデザインで知られるアニメーター・羽山淳一さん。「アニメキャラクターの作画&デザインテクニック」は、羽山さんが本書のために考えたオリジナルストーリーに沿ってキャラクターデザインを考えていく形式で、キャラクターごとの特徴を最大限に発揮させるための描き分けの方法などを解説しています。
本記事ではその中でも、登場人物それぞれの性格や背景、属性を踏まえて、どのように特徴を引き出すように描くか、という基本のメソッドを解説しています。
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キャラクターデザインをする際、ただデザインすればいいわけではなく、そのキャラクターの内面や経験したもの、人物背景を反映させられればもっと深みのあるキャラクターをデザインすることができます。キャラクター自体は描けるけど、顔が似てしまったり、性格とキャラクターが一致しないなどの問題が生じてくることもあるでしょう。ここでは原画マンとしても活躍している羽山さんだからこそできる、動きや性格を踏まえたキャラクター設定方法とデザインの考え方を解説していきます。
キャラクターごとに体格の違いを考える
■経験したスポーツによる違い
経験しているスポーツなどで、筋肉のつき方が違うので、その違いも研究して骨格を描きましょう。人体の構造は把握しておくべき。
■女性はラインをやわらかく
女性はしなやかな動作をさせるため、身体のラインをやわらかく描きます。性格によっては少しふくよかな体型が似合う場合も。
■筋肉のタイプにもいろいろ
筋肉タイプにもいろいろあります。ムキムキの筋肉もあれば、相撲の力士のような脂肪のついた筋肉など様々です。
■体育会系と文化系
同じ背が低いキャラクターでも体育会系と文化系では全く違うイメージを持たせる必要があります。体育会系だとすばしっこい動きの印象を描き、文化系だと頭を少し大きめにして知的で落ち着いた風に描くといいでしょう。
■スマートな男性の優雅な仕草
手足が長い痩せ気味で長身のタイプは繊細なイメージを感じさせ、動きの優雅さを表現するのに適しています。
骨格で考える身体の描き方
男性と女性の体格の差を理解しておこう。性格や経験したスポーツなどで体格が変わってきます。そういった人物背景などを考えてキャラクターデザインに活かしていきましょう。
男性のしっかりした大きい骨格に対して、女性はやわらかく細身な骨格になっています。これが基本型になり、それぞれの特徴に合わせて、キャラクターを作り込んでいきます。
■女性キャラもいろいろ
女性キャラの場合、元気かそうじゃないかの二分化されることが多いです。左はスポーツをしているので体格もしっかりしていて、仕草も大きい、一方右はおっとりしていて、立ち振る舞いも上品な感じになっています。
■格闘技は背中に筋肉がつきやすい
格闘技をしている人は背中に筋肉がついている場合が多く、背中に筋肉があると自然と猫背気味になる。
■似たタイプはポージングで違いを
似たようなキャラクターでも、ポージングによって違いを表現することもできます。
キャラクターを差別化する方法としてポージングは有効な方法のひとつです。
■身体のラインの流れが美しい
人間はそもそも身体のラインの流れが美しいので、それを活かしたデザインのほうが良いと思っています。なので身体のラインがきれいに出る衣装をチョイスします。
■体格や行動パターンによる衣装
左はすばやい動きをするキャラクターなので制服の前を開けたままにしており、右は太っているので前のボタンが閉まらない。
■衣装や体格の設定にちょっとアイデアを
このキャラクターは虚栄心の塊のようなキャラクター。本当はなで肩なのに肩パットの入ったジャケットを着てごまかしているという設定にすれば、常に見栄を張っているような性格の人物だと設定づけられます。
<玄光社の本>