ステーショナリーディレクターとして文房具の商品企画やPRのコンサルティングを行う土橋正さんは、著書「暮らしの文房具」にて、じっくり使ってみて分かった、本当にいいと太鼓判を押す文房具を紹介しています。普段の生活から仕事まで、暮らしに寄り添い、長く愛用できる文房具とは、どのような逸品なのでしょうか?
ここでは、第14章「補充する」より「試験管」を紹介します。
シャープペンの芯交換を楽しみたくて
小さな試験管
13mm径×75mm
万年筆を使っている方なら、きっとそうそうと共感してもらえると思うが、インクを入れる作業は楽しい。作業自体はインクで手が汚れたりして面倒な面もあるけど、楽しいのだ。特にボトルインクから吸入していると、万年筆そして自分にも元気を入れているような、そんな気分になる。同じ補充なのに、シャープペンの芯交換はあんまり気持ちが盛り上がらない。あくまでも作業という感じしかしない。
しかし、ある時気付いた。それはシャープペンの芯ケースのせいかもしれないと。それじゃ心躍るケースにしようと探してみた。そこで目を付けたのが、実験などで使う試験菅だ。以前からペンをディスプレイするのに使っていた。ただ、それではちょっと大きすぎるので、アマゾンで当てずっぽうに「小さな試験菅」と検索してみたら、本当にそういう名前の商品が出てきて驚いた。
シャープペン芯にピッタリのサイズ。0.5mm、0.7mm、0.9mmといった芯の太さ、そしてBや2Bなどの硬度が区別できるようにラベルを貼っている。シャープペンを耳元でシャカシャカ振って、その音でそろそろかなと芯の交換タイミングを判断する。いよいよその頃だなとなれば、引き出しから小さな試験菅を取り出し、コルクをポンッと抜いて芯を補充する。案の定、芯補充は楽しいものになった。
<玄光社の本>