「EOS R」「EOS RP」は、キヤノン最初のフルサイズミラーレスラインナップを支える2機種です。新たにRFマウントを採用し、対応するレンズはまだまだ少ないながらも、RFシステムが生み出す写真、その画質はユーザーから評価を得ています。
「フォトグラファーが教えるCanon EOS R & RP撮影スタイルBOOK」では、キヤノンRFシステムの操作や設定の解説とともに、フォトグラファー自身の手による交換レンズの作例とレビューを掲載。これからRFシステムを使いこなすにあたって、指針となる情報が得られる一冊となっています。
本記事では、Chapter3「RFマウントで撮影する」より、標準レンズ「RF50mm F1.2 L USM」および中望遠レンズ「RF85mm F1.2 L USM」についての解説を抜粋して紹介します。
RF50mm F1.2 L USM:ボケとキレが冴える最高級の標準
大口径F1.2を誇る、超弩級標準レンズ。レンズ構成は9群15枚、絞り羽根は10枚と贅沢なスペックで、重量は950gもある。ちなみに、EFマウントのEF50mm F1.2L USMは、6群8枚のレンズ構成で重量も590g。それでも、ちょっと大きいなという印象であった。
実際にEOS Rに装着してみると、ボディが軽いだけにバランスが悪いのではないかと懸念していたのだが、案外素直に取り回しできる。すっと音もなく、スピーディーに合焦するUSM。最短撮影距離は40cmと、EFの45cmよりさらに寄れるようになっているのもうれしい。
何よりも驚くのが、開放からの群を抜く切れ味と、柔らかで穏やかなボケ味である。無論、解像力の高さは言うまでもない。持つ人を限りなく高揚させる、最高級標準レンズなのである。
- レンズ構成:9群15枚(研削非球面レンズ2枚、非球面レンズ1枚、UDレンズ1枚、フッ素コーティングあり)
- 焦点距離:50mm
- 画角:46°
- 開放絞り:F1.2
- 最小絞り:F16
- 絞り羽根:10枚
- 最短撮影距離:0.40m
- 最大撮影倍率:0.19倍
- フィルター径:77mm
- 外形寸法(最大径×長さ):89.8mm×108mm
- 質量:約950g
- 価格:325,000円(ケース・フード付き、税別)
抜群の描写力でポートレートも得意
被写体との距離を意識した撮影も
RF85mm F1.2 L USM:ピントに芯がありつつ、滑らかなボケもつくれる
キヤノンユーザーなら誰しもが憧れるのが、F1.2という格段の明るさを誇る中望遠レンズである。1976年に一眼レフ用のFD85mm F1.2 S.S.C. アスフェリカルが発売。その後、モデルチェンジとマウント変更を経て、2006年にはEF85mm F1.2L II USMを発売し、現在に至っている。
そして、満を持して登場したRFマウントの85mmF1.2レンズは、まったくの新設計となっている。EF85mm F1.2L II USMのレンズ構成が7群8枚だったのに対して、このレンズでは9群13枚に増え、スペック上からも贅沢な性能がうかがえる。また、最短撮影距離もEFの0.95mから、わずかながら短くなり0.85mとなっている。ずんぐりとした鏡胴だが、手になじむのでハンドリングは悪くない。もちろん、合焦部の切れ味さわやかな描写は秀逸。溶けていくように滑らかなボケ味が魅惑的で、ポートレート撮影に必携の1本に仕上がっている。
- レンズ構成:9群13枚(研削非球面レンズ1枚、非球面レンズ1枚、UDレンズ1枚、フッ素コーティングあり)
- 焦点距離:85mm
- 画角:28°30’
- 開放絞り:1.2
- 最小絞り:16
- 絞り羽根:9枚
- 最短撮影距離:0.85m
- 最大撮影倍率:0.12倍
- フィルター径:82mm
- 外形寸法(最大径×長さ):103.2mm×117.3mm
- 質量:約1,195g
- 価格:オープン価格(ケース・フード付き)
ポートレート撮影を極めるレンズRF85mm F1.2 L USM DS
RF85mm F1.2 L USM の上位機種として現在開発中のレンズ。DSはDefocus Smoothingの略。RF85mm F1.2 L USMと同様の光学系に加えて、蒸着膜技術を採用したレンズで、ボケ像のエッジを滑らかにし、独特のボケ描写が可能。ポートレート撮影の新たな武器となるなるレンズだ。
狙い通りにピントがズバリ