モデルの撮影時に、どのようにポーズや動きをとってもらったらよいか?ということは、カメラマンにとっていつも悩みどころです。自分から動けない初心者のモデルには、カメラマンが的確に導いてあげる必要があります。「女の子が動きでかわいく見えちゃう55の撮り方」は、この重要なポイントである「動き」をテーマに、伸びやかで躍動感のある写真の作り方を解説しています。
本記事では、チャプター2の「モデルの動きでかわいく見えちゃう」から、ワタナベタイシさんのアイデアをご紹介します。
ぶれも表現の方法として認識しよう
動きを「どう撮るか」と考えたときに、撮影者が決めなくてはいけないのは、モデルの動きを「ぶらす」か、「止める」かだ。
この判断は、どちらかが「良い」「悪い」という問題ではなく、撮影者がどちらにしたいかによる。「ぶれ=失敗」のイメージを持つ人もいるけれど、ぶれだって動きを伝える表現になる。意図せずに「ぶれてしまった」というのが、失敗なのだ。そして意図をしっかり写真に結びつけるために、適切なシャッター速度を決める必要がある。たとえば上の写真は、モデルと歩きながら撮影し、シャッター速度は1/30秒にセット。背景をぶらして、暗いトンネルを抜けていく臨場感を出している。
下の写真では、ジャンプしながら回転するモデルの、髪や服の動きまでをシャープに描くのに、1/640秒の高速シャッターを選択した。このように撮影意図から適切なシャッター速度を選択して、動きを描いていこう。ちなみに本書で紹介する、1対1のモデル撮影では、1/500秒あれば、動きは止まると考えていいだろう。