写真にハマっているアマチュアにとっては、「テーマはどんなものにすればよいか?」「撮影方法はどうすればよいか?」「上手に写真を撮るためには?」など、本気になればなるほど、堅く考えてしまうものです。そんな人達に写真家の丹野清志氏は、著書「ニッポンぶらりカメラ旅」の中で、肩ひじはらずにカメラを持ってふらっと旅をして、思いつくままに写真を撮ることを勧めています。「町から町へ、なりゆきまかせで移動していくと、いろいろな出会いがあり、出会いの一つ一つに心がふるえるのです。」と言います。
そんな心をふるわせる被写体に出会える旅はどうしたらできるのでしょうか?
本記事では、第1章「ぶらりカメラ旅入門」からカメラについてのアドバイスをご紹介します。
写真はカメラで撮る
今日、一般に写真を撮るといえばスマホが活用されていて、これまでコンパクトカメラと呼ばれる小型カメラがたくさん登場してきましたが、スマホの登場ですっかり影が薄くなってしまいました。
スマホとはスマートフォンのことで、アプリをインストールできるOS搭載の携帯電話。つまり鮮明な画像を再現する撮影機能はあっても本体は携帯電話端末です。だから、スマホで撮る静止画像と写真撮影専用の「カメラ」で撮る写真は違うものだよ、とこれまではそう言ってきたのです。撮影機能がより優れたものになり、いまやスマホは一つのデジタルカメラなのですね。さらに、ツイッターやフェイスブックに投稿したり写真SNSなどで共有したりというネットで展開する画像ワールドの時代であれば、スマホで撮る画像のほうが面白い展開があるでしょう。
駅のホームのでっかい広告写真のコピーに「iPhoneで撮りました」とある。いまやスマホの代表iPhone。これはもうデジタルカメラの一番手。モニター画面が大きくて見やすく、拡大、縮小自由自在。高画素、高解像力の鮮明な画像は理屈抜きですばらしい。
でも、写真は写真を撮るための道具であるカメラで撮りたいとおじさんは思い、カメラ旅なのだからカメラで撮るということが大事なのだよ、と言い切りたいのですが、利便性で言えば現代人の必需品。スマホ画像による表現がカメラの写真を出し抜くってこともあるのですから、月並みな結論ですが、カメラはカメラ、スマホはスマホ、それぞれの利点を組み合わせて目的に応じて使い分けましょう、というのが“ベストアンサー”なんだと思います。
<玄光社の本>