ニッポンぶらりカメラ旅
第3回

スマホとカメラで撮る写真は何が違いますか?

写真にハマっているアマチュアにとっては、「テーマはどんなものにすればよいか?」「撮影方法はどうすればよいか?」「上手に写真を撮るためには?」など、本気になればなるほど、堅く考えてしまうものです。そんな人達に写真家の丹野清志氏は、著書「ニッポンぶらりカメラ旅」の中で、肩ひじはらずにカメラを持ってふらっと旅をして、思いつくままに写真を撮ることを勧めています。「町から町へ、なりゆきまかせで移動していくと、いろいろな出会いがあり、出会いの一つ一つに心がふるえるのです。」と言います。
そんな心をふるわせる被写体に出会える旅はどうしたらできるのでしょうか?


本記事では、第1章「ぶらりカメラ旅入門」からカメラについてのアドバイスをご紹介します。

ニッポンぶらりカメラ旅(丹野清志・著)

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スマホのデジタルズームはレンズのズームと違い画質がよくないので注意

写真はカメラで撮る

今日、一般に写真を撮るといえばスマホが活用されていて、これまでコンパクトカメラと呼ばれる小型カメラがたくさん登場してきましたが、スマホの登場ですっかり影が薄くなってしまいました。

スマホとはスマートフォンのことで、アプリをインストールできるOS搭載の携帯電話。つまり鮮明な画像を再現する撮影機能はあっても本体は携帯電話端末です。だから、スマホで撮る静止画像と写真撮影専用の「カメラ」で撮る写真は違うものだよ、とこれまではそう言ってきたのです。撮影機能がより優れたものになり、いまやスマホは一つのデジタルカメラなのですね。さらに、ツイッターやフェイスブックに投稿したり写真SNSなどで共有したりというネットで展開する画像ワールドの時代であれば、スマホで撮る画像のほうが面白い展開があるでしょう。

自撮りする外国人観光客。今、浅草は国際観光都市。

駅のホームのでっかい広告写真のコピーに「iPhoneで撮りました」とある。いまやスマホの代表iPhone。これはもうデジタルカメラの一番手。モニター画面が大きくて見やすく、拡大、縮小自由自在。高画素、高解像力の鮮明な画像は理屈抜きですばらしい。

でも、写真は写真を撮るための道具であるカメラで撮りたいとおじさんは思い、カメラ旅なのだからカメラで撮るということが大事なのだよ、と言い切りたいのですが、利便性で言えば現代人の必需品。スマホ画像による表現がカメラの写真を出し抜くってこともあるのですから、月並みな結論ですが、カメラはカメラ、スマホはスマホ、それぞれの利点を組み合わせて目的に応じて使い分けましょう、というのが“ベストアンサー”なんだと思います。

 

<玄光社の本>


ニッポンぶらりカメラ旅

 

著者プロフィール

丹野 清志

(たんの・きよし)

1944年生まれ。東京写真短期大学卒。写真家。エッセイスト。1960年代より日本列島各地へ旅を続け、雑誌、単行本、写真集で発表している。写真展「死に絶える都市」「炭鉱(ヤマ)へのまなざし常磐炭鉱と美術」展参加「地方都市」「1963炭鉱住宅」「東京1969-1990」「1963年夏小野田炭鉱」「1983余目の四季」。

主な写真集、著書
「村の記憶」「ササニシキヤング」「カラシの木」「日本列島ひと紀行」(技術と人間)
「おれたちのカントリーライフ」(草風館)
「路地の向こうに」「1969-1993東京・日本」(ナツメ社)
「農村から」(創森社)
「日本列島写真旅」(ラトルズ)
「1963炭鉱住宅」「1978庄内平野」(グラフィカ)
「五感で味わう野菜」「伝統野菜で旬を食べる」(毎日新聞社)
「海風が良い野菜を育てる」(彩流社)
「海の記憶 70年代、日本の海」(緑風出版)
「リンゴを食べる教科書」(ナツメ社)など。

写真関係書
「シャッターチャンスはほろ酔い気分」「散歩写真入門」(ナツメ社)など多数。

著書(玄光社)

「写真力を上げるステップアップ思考法」

なぜ上手い写真が撮れないのか
町撮りアート写真ブック
ニッポンぶらりカメラ旅
お気に入りカメラで楽しむ自分流町歩き写真の方法
写真集のつくり方
写真教室では教えない“新スナップ写真”の方法
誰も教えなかった “自分流写真”の方法
[四季を味わう]ニッポンの野菜

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