ポートレート写真を撮影するにあたり、光をコントロールする技術は習得しておいて損はありません。その場の光を操作する撮影機材や用品はいくつもありますが、中でも「レフ板」は、持ち運びやすさや汎用性、入手性の高さで人気の高い撮影用品です。
「ポートレート撮影 レフ板ライティング完全マスター」では、様々なレベルに対応したレフ板の使い方を網羅。レフ板の種類や基礎的な使い方を紹介する「基本編」、スポット光や反射光、複数枚の運用法を教える「応用編」、様々なシーンでの実例をもとに具体的な使い方を伝える「実践編」からなり、あらゆるシーンで使えるレフ板のテクニックを実践的に学ぶことができる一冊となっています。
本記事では「応用編」より、複数のレフ板でアクセントとなる光を作り出すテクニックをご紹介します。
銀レフのアクセントライトで人物の輪郭を強調
人物の手前から白レフを当てて、銀レフで人物のやや後ろから、頬から首、胸元にかけての輪郭にエッジをつけている。切ない表情に合わせ、アクセントライトが心情の葛藤をさらに引き出した。
複数レフで輪郭と顔の両方に当てる
使用するレフ板
- 80cm 丸レフ(白・銀)
レフ板1枚(白)使用
木漏れ日を感じさせるカットを目指し、胸元にハイライトを入る場所で撮影。メインの白レフだけでも十分きれいだが、木漏れ日の印象は弱い。
レフ板2枚(白・銀)使用
木漏れ日が人物に当たっているイメージで、背後から銀レフで髪を輝かせるアクセントライトを入れる。胸元のハイライトと相まって、木漏れの雰囲気が高まった。
ライティング方法check!
光源
天候は晴れ。光源の太陽は人物の正面に近いが建物で隠れている。
撮影者・カメラ
レンズはフルサイズで55㎜。人物の真正面で。同じく建物の陰でカメラを構えている。
レフ板
メインは白で柔らかく。首の影を消すべく、ややアッパーライトで。アクセントライトは銀レフで日なたから光を拾っている。
モデル
建物の陰で立つ。床は古い木材。
メインの効果を見てアクセントを追加
人物を明るくするため、もしくは不必要な顔の影を消すべく、レフ光を当てたが、さらに光をプラスすることで、より印象的に仕上げていくのが、この「人物ライト+アクセントライト」の考え方だ。
たとえば木漏れ日を感じるシーンで、人物に木漏れ日がちょうど当たっているような光が欲しいとか、人物を明るくするだけではフラットになってしまうので、影ではなくエッジを効かせるためのハイライトを入れたい、などのシーンだ。レフ板が2枚あれば、メインは1枚目のレフで、木漏れ日やアクセントライトは2枚目で作ることができる。
ライティングの順序は、意図するイメージに対して、「メインライトの決定」↓「アクセントライトの決定」の順。メインライトの出来に対し〝あるとイメージがさらに伝わる〞という感覚でアクセントライトを入れること。
ただ、アクセントライトはあくまでも雰囲気やイメージに厚みを持たせるための“プラスα”。メリハリを効かせるために銀レフを使うことが多いが、あまりでしゃばらないよう、さりげなく入れることが成功のコツだ。