私たちがネットショッピングをするとき、購入の決め手になる要素のひとつが「写真」です。商品の詳細や使用イメージなど、想像していた通りの商品かどうかをある程度知りたいときは、百の言葉よりも一枚の写真の方が説得力を持つこともあるでしょう。
「ネットショップ初心者でも売れる商品写真の基礎知識とつくり方」では、ECショップにおいて効果的な写真の性質や撮影時の留意点をカテゴリごとに紹介。商品撮影をカメラマンに依頼する際のディレクションについても触れつつ、SNS戦略、カートシステムにいたるまで、ECショップ内の画像にまつわるあらゆるテーマを網羅し解説しています。
本記事ではChapter4「商品別に必要な写真と撮り方」より、撮影前の商品側の準備で押さえておきたいポイントを説明します。
撮影前の準備と便利なアイテム
まず大前提として共通するのは撮影前に商品をきれいにしておくことです。
ホコリや汚れを取ることはもちろん、衣類の場合はシワを伸ばしておくことも大事です。そのためにはアイロンやスチーマーが必要になります。
また、ガラスや金属類などデリケートな商品は直接触れるのではなく、手袋をしてから触れるようにしましょう。指紋や皮脂が付くのを防ぎます。
一般的にはコットン地の白手袋を使用します。撮影機材の専門店やカメラ量販店のほか、100円ショップやコンビニでも似たようなものが売られていることがあります。
撮影前の状態を撮影しておく
撮影した商品は「訳あり品」として販売することがあります。どんな形であれ、一度でも使用したものは「中古品」となってしまうので、「新品」として販売することが躊躇されるためです。
ただ「訳あり品」といっても、場合によっては、ただパッケージの封を解いただけのケースもあります。とはいえ、販売する際には、なるべくきれいな状態にして届けたいものです。
このようなときに備えて、撮影前の状態を撮影しておくと、後々役に立ちます。タグを外す必要がある場合はタグが付いている状態を、付属品が同梱されている場合は、付属品がパッケージに収まっている状態など、後から元の状態に戻すための記録をしておきます。
顧客との信頼構築を考えて、「訳あり品」だからといって雑に扱うことは避けましょう。
商品の固定に便利なグッズ
商品によっては形状そのものが自立しづらいものや、少し傾けて撮影したい場合があります。そのままではうまく固定できないことが多いので、固定に使うグッズはいろいろ用意しておくとはかどります。
練りゴム(いわゆる「練りけし」)、ワックス、テグス、パーマセルテープと種類も多いので、商材やスタイリングに合わせて使い分けましょう。
上はパーマセルテープ、下は練りゴム「ひっつき虫」
練りゴムやワックスは形を自由に変えられるので、いろんなシーンで活躍します。ただし、アクセサリーなどの複雑な造形で使用すると、残りカスが造形の細かい部分に入り込んでしまう恐れがあるので、注意してください。また、被写体に粘着跡が残ることもあります。使用後は必ず粘着跡を確認しましょう。
パーマセルテープとは撮影で使う紙テープの一種です。風合いとしてはマスキングテープに似ていますがマスキングテープよりも粘着力が強く、かつ剥がし跡が残りづらい性質を持っています。
熱にも強く、高温で粘着剤が溶けにくい性質もあり、照明機材のような熱を持つ機材の近くでも安心して使えます。商品の固定以外にも機材の固定や進行表といった紙を貼り付けるのにもよく使われています。