他者との交流を目的としてタイムラインに写真を投稿することは、SNSの黎明期より長く行われてきました。それは自然と、SNSを写真作品の発表の場としても機能する形に進化させています。
「バズる!写真編集術」では写真を発表する場としてのSNSにおいて、より多くの人々に作品の魅力を届けるための考え方と調整方法を紹介。SNSで写真が拡散される現象についての考察をベースに、個々の作品で表現したいテーマに沿った調整の具体的な手順を作例のビフォー/アフターによって伝えています。
本記事ではTYPE A「トレンド」より、日本らしい雪景色のディテールを表現する調整方法について解説します。
トレンド: #日本らしい冬景色に出合えた日
逆光で輝く降雪のディテールを際立たせる
Shooting Tips
撮影時の露出は雪のハイライト部が白飛びする寸前に合わせます。特に日差しが当たっている時は極端に明るくなり、撮影した段階では雪以外はほぼ確実に露出不足になります。不安になるかもしれませんが、編集で明るさを調整すれば問題はありません。
Before
- 建物の日陰部分を明るくし、降雪のディテールを見せる
- 雪のまぶしさを表現する
- 積雪の白飛びを抑える
5年ぶりの積雪を記録した岐阜・高山。大雪が降り続くなか一瞬顔を見せた晴れ間を狙って撮影しました。ここでは晴れていながらも大雪が降っているという状況を見せたかったので、編集では明るさの表現と降雪のディテールの強調に重点を置いて作業していきます。
今回は基本補正をメインに使っていきますが、このような明暗差の大きいシーンは白飛びと黒潰れが大敵です。明るい部分は白飛びしないギリギリの明るさをキープしておくことで明暗両方のディテールを見せることができ、写真の階調を最大限に活用した豊かな表現が可能になります。
After
写真編集のポイント
白飛びと黒潰れをできるだけ抑え階調豊かな表現を目指します。
基本補正: 全体の明るさを整えてディテールを強調する
階調を整えて明暗部のディテールを取り戻します。建物の日陰部分はシャドウを上げて対応し、雪は白飛びを抑えるためにハイライトを下げますが、まぶしさは表現したいので白レベルは上げて明るさをキープします。
基本補正パネルの露光量、シャドウを上げ、ハイライトを下げることで全体の階調がまんべんなく出るように調整します。
雪の白飛びに注意しつつ白レベルを上げて雪の白さを表現します。
明瞭度を上げることで降雪のディテールを浮かび上がらせます。
高度な補正: トーンカーブで中間調を明るくする
雪のまぶしさを表現するために、明るい部分と暗い部分の真ん中にある中間調と呼ばれる階調部を補正して雪の陰を明るくしていきます。中間調のみの明暗をダイレクトに調整できるのはトーンカーブだけです。
ポイントカーブのシャドウ部とハイライト部にコントロールポイントを複数設定し、中央付近だけが盛り上がるように調整します。
高度な補正: カラーグレーディングでシャドウ部に寒色を追加
シャドウ部に寒色を載せてより寒い印象に仕立てます。やや水色寄りの青色を載せるとなじみやすいですが、日なた部分の雪に色を載せてしまうと不自然になるのでハイライト部に色が載らないよう慎重に調整します。
カラーグレーディングパネルでシャドウを詳細表示し、色相で選んでからごくわずかに彩度を加えます。