バズる! 写真編集術
第4回

被写体が持つ色のイメージで統一感をもたせる

他者との交流を目的としてタイムラインに写真を投稿することは、SNSの黎明期より長く行われてきました。それは自然と、SNSを写真作品の発表の場としても機能する形に進化させています。

バズる!写真編集術」では写真を発表する場としてのSNSにおいて、より多くの人々に作品の魅力を届けるための考え方と調整方法を紹介。SNSで写真が拡散される現象についての考察をベースに、個々の作品で表現したいテーマに沿った調整の具体的な手順を作例のビフォー/アフターによって伝えています。

本記事ではTYPE A「トレンド」より、梅の花をメインに据えた世界観を表現する調整方法を紹介します。

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トレンド: #三重の梅がすごい
ピンク色で淡く夢のような世界観を創り出す

バズる!写真編集術

Shooting Tips
梅絨毯が見られるのは満開から少し過ぎた頃です。散りすぎると上がスカスカに、早すぎると地面がスカスカになってしまうため撮影のタイミングが難しく、本作では何度か通ってようやく満足のいく結果となりました。爽やかな色合いを出すのであれば晴れの日を狙いましょう。

Before

  • 全体の色彩を淡いピンク色に近づける
  • 支柱がピンク色に濃く染まらないように調整する
  • 日陰部分の青色かぶりを取り除き、ディテールを強調する

満開の梅が散り始め、地面に落ちた花びらがまるでピンク色の絨毯のような日本庭園のワンシーン。ここでは全体を明るくしたうえで淡い色調に仕上げ、夢を見ているかのようなイメージで編集していきます。

ポイントはピンク色の再現。日なたの花は梅のピンク色が残るよう明るさを調整し、また陰の部分の花はマスクを使って青色かぶりを取り除き、写真全体の色味に統一感を持たせていきます。とにかくピンク色に仕立てるというのが前提ですが、木を支える竹など不必要な部分までピンクにしてしまわないよう細やかな調整が必要です。

After

Nikon D750 AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR(98mm)マニュアル(f6.3・1/320秒) ISO100 多分割測光 WB:晴れ/三重・鈴鹿市 鈴鹿の森庭園 3月8日10時14分

写真編集のポイント

梅のピンク色をキープしつつ全体を慎重に明るくします

基本補正: 全体を明るくしてピンク色に寄せる

全体の色、明るさ、雰囲気を整えます。まずはホワイトバランスを使ってピンク色に寄せて、しだれ梅の色を鮮やかにします。次に階調を補正して光を柔らかくし、さらにディテールを弱めることでまどろんだ雰囲気を出していきます。

基本補正パネルの色温度で青みをつけ、色かぶり補正をマゼンタに寄せます。支柱がピンク色にならない程度の調整に留めましょう。


ハイライトを下げて花びらの明るい部分の明るさを抑え、白飛びしないようにします。


テクスチャと明瞭度を下げることで梅がソフトな描写となり淡い印象に近づきます。

高度な補正: HSL/カラーで空の色を整える

空を青くすることでしだれ梅のピンク色が引き立ち、また天気の良さを伝えられてポジティブな印象を持たせることができます。色相・彩度・輝度の調整は不自然にならないよう、なじみ具合を確認しながら慎重に行います。

カラーパネルのブルーを選び、淡い青空の色をイメージしながら色相・彩度・輝度をそれぞれ調整します。

適用前

適用後

マスク: 円形グラデーションで淡いトーンを作る

背景と手前左側の梅の木を中心に右側の梅の木までかかるよう、大きめに円形グラデーションでマスクを作成して明るくします。単純に露光量を上げるだけでなく、日なたと日陰のコントラストを下げて淡いイメージを持たせます。

ツールストリップ>マスク>円形グラデーション



露光量に加えてシャドウと黒レベルもプラスし、明るくしつつ陰と日なたのコントラストは下げていきます。

適用前

適用後

マスク: 円形グラデーションで落花を強調する

散り落ちた手前の花びらのディテールを強調して地面に視線を引きつけるとともに、背景との明瞭差をつけて奥行き感を表現します。色温度を暖色に調整して陰の青色を紫色にすることで全体の色彩に統一感を出します。

マスクパネル>新しいマスクを作成>円形グラデーション

シャドウを上げて淡いイメージをキープしながらテクスチャと明瞭度で花びらと地面のコントラストをプラスします。ホワイトバランスの調整は支柱がピンク色に染まらない程度に行います。


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