写真が上達するキーワード事典
第6回

色の見え方に影響を及ぼす光源の性質「演色性」ってなに?

多くの人がスマートフォンを手にするようになり、日常的に写真を撮るようになりました。近年のスマホはアプリの機能も充実しており、特に写真撮影の知識がなくても、ひとまず使っていれば使い方は覚えられるものです。

ただ、TLで見かけたインフルエンサーの写真のような、目を惹く写真を撮りたい!となると、用語の意味を知る必要が出てきます。

写真が上達するキーワード事典」では、写真撮影にまつわる100の用語を個別に解説。本格的に写真を学ぶにあたって頻出する用語について理解を深めることができます。

本記事では「演色性」について解説します。

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自然光が当たったときと同じ色を再現する

色の見え方に影響を及ぼす光源の性質のことを「演色性」といいます。自然光を基準とし、色がそれに近い見え方になるほど優れていると判断されます。演色性が高い照明ほど忠実な色合いが得られるのです。室内照明の演色性がいまひとつだと、撮影では被写体の色合いの再現、プリントを見るときは色合いの判断が正しくできません。料理が美味しそうに見えるように、レストランなどでは演色性の高い照明が使われています。

演色性の目安となるのが、色合いの再現性を表す単位として用いられる「平均演色評価数」(Ra)です。照明機器のスペックに記載されていて、ライティングやカラーマネジメントを行うときにはRa90以上のものが 適しています。白熱電球の平均演色評価数はRa100と最大値で、ストロボが普及するまではスタジオ撮影の照明機器の主流でした。ただし、その色温度は3,000K前後と低く赤みが強いです。デジタルカメラでの撮影ではホワイトバランスでその赤みを補正できますが、プリントの色合いを確認するのには適していません。

演色評価数とは?

演色評価用の試験色を照明したときの、基準光(自然光)との色の見え方の違いを0〜100の指数で表したものです。平均演色評価数(Ra)と特殊演色評価数があり、一般に使われるのは前者です。

演色性は自然光が基準

撮影はもちろん、プリントの色を確認するときも光源の色温度と演色性が大切です。昼白色の蛍光灯の色温度は5,000Kですが、平均演色評価数はRa85前後なので色の厳密な判断には不十分です。

照明の演色性の違い

照明の演色性が低いと少し褪せた感じの色合いになります。演色性が高い照明のほうが色がしっかり再現されていて見栄えも良いです。光の色評価に対応したカラーメーターを使用すれば、写真を撮るときと見るときの光源の状態を数値化できます。色温度で経年変化、演色評価数で色再現性の確認などが行えます。

一般的なライト

高演色のライト


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著者プロフィール

岡嶋 和幸

岡嶋和幸(おかじま かずゆき)

1967年福岡市生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「ディングル」「風と土」のほか著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」「潮彩」「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」「九十九里」「風と土」「海のほとり」などがある。

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