写真が上達するキーワード事典
第5回

明暗と濃淡で表現する「モノクロ写真」の面白さ

多くの人がスマートフォンを手にするようになり、日常的に写真を撮るようになりました。近年のスマホはアプリの機能も充実しており、特に写真撮影の知識がなくても、ひとまず使っていれば使い方は覚えられるものです。

ただ、TLで見かけたインフルエンサーの写真のような、目を惹く写真を撮りたい!となると、用語の意味を知る必要が出てきます。

写真が上達するキーワード事典」では、写真撮影にまつわる100の用語を個別に解説。本格的に写真を学ぶにあたって頻出する用語について理解を深めることができます。

本記事では「モノクロ」について解説します。

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色ではなく白、黒、グレーで写真を表現する

単一の色で絵画を描くこと、またはその絵画のことを「モノクローム」といいます。もともとはフランス語の「単色」を意味する言葉で、略して「モノクロ」と呼んでいます。黒だけを指す言葉ではなく、セピア調の写真など1色で表現したものであればモノクロです。写真や映画など画面がカラーでないものを「白黒」、英語の「Black & White」をそのまま訳して「黒白」と呼ぶことも。単一色の濃淡や明暗で表現すること、特に白、黒、グレーなどの無彩色だけで構成されているさまを「モノトーン」といいます。

カラー写真とモノクロ写真は、フィルムカメラでは基本的に装填するフィルムの種類で決まります。これに対しデジタルカメラでは仕上がり設定で「モノクロ」を選ぶだけと簡単で、カラーとモノクロをコマ単位で切り替えられて便利です。カラーで撮影した画像を後からパソコンでモノクロにすることも可能です。反対にモノクロで撮影した画像をカラーにしたい場合、RAW形式であれば可能ですが、JPEG形式だとできません。後でカラーにできるようにRAW形式とJPEG形式を同時に記録することをお勧めします。

カラーとモノクロは表現が異なる

色がポイントとなる写真を後からモノクロに変換すると伝わりづらくなることがあります。カラーは色で区別できますが、モノクロは同じ濃度だと同化するからです。モノクロで表現するときは色ではなく、明暗や濃淡を意識しながら撮影すると良いでしょう。

カラー
モノクロ

調色で個性的なモノクロにする

モノクロは明暗や濃淡で表現されますが、仕上がり設定の「モノクロ」の「調色」で色味を加えることができます。古典技法やフィルム写真の調色のように全体の色調をクラシックな印象にするなど、個性的で雰囲気のあるモノトーンの仕上がりが簡単に楽しめます。

セピア調

サイアノタイプ


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著者プロフィール

岡嶋 和幸

岡嶋和幸(おかじま かずゆき)

1967年福岡市生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「ディングル」「風と土」のほか著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」「潮彩」「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」「九十九里」「風と土」「海のほとり」などがある。

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