写真が上達するキーワード事典
第4回

写真の足し算と引き算〜最も「伝わる」画面構成を考える

多くの人がスマートフォンを手にするようになり、日常的に写真を撮るようになりました。近年のスマホはアプリの機能も充実しており、特に写真撮影の知識がなくても、ひとまず使っていれば使い方は覚えられるものです。

ただ、TLで見かけたインフルエンサーの写真のような、目を惹く写真を撮りたい!となると、用語の意味を知る必要が出てきます。

写真が上達するキーワード事典」では、写真撮影にまつわる100の用語を個別に解説。本格的に写真を学ぶにあたって頻出する用語について理解を深めることができます。

本記事では「画面構成」について解説します。

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写真が上達するキーワード事典

写真の足し算と引き算を効果的に使い分ける

表現する上での諸要素を独自の手法で組み立てて作品にすることを「構成」といいます。いくつかの要素を1つの画面でまとまりのあるものに組み立てることが「画面構成」で、「構図」のことでもあります。

望遠でアップにしたり、背景をぼかしたりなど、被写体をシンプルに見せるのが「写真は引き算」という考え方です。いろいろなものが削ぎ落とされて味気なく感じられ、個性のない画一化された表現になることもあります。だからといってあれこれ入れすぎると逆効果で、伝わりやすくするには画面を構成する要素のバランスがとても大切です。

単写真と組写真では画面構成の考え方が少し違います。フォトコンテストなどでは、単写真は「写真は引き算」的なアプローチだとただ「きれい」「うまい」といった既視感のある表現になりがちで、ほかの応募作品の中に埋もれやすいです。何を加えるのかの取捨選択が重要で、テーマを明確にして取り組んだほうが判断しやすくなります。組写真はほかの写真と組み合わせることで変化が生まれるため、1枚1枚はシンプルな画面構成でも問題ないでしょう。

単写真は情報の取捨選択が大事

シンプルに見せるのではなく、必要な要素を足していった方が画一化した表現から脱却しやすいでしょう。単写真は1つの画面で全てを語り尽くさなければいけません。テーマを伝えるために必要な情報を画面に盛り込むことになりますが、その取捨選択がとても重要です。

密集感を出す

周囲の様子を取り込む

ほかの写真で情報を補える組写真

複数の写真を組み合わせる組写真は役割分担がポイント。ほかの写真で補えるので、シンプルなほうがテーマでつなぎやすいです。1つの画面にたくさん情報を詰め込んで組み合わせると複雑で伝わりにくくなります。情報が多いときは複数枚に分けて撮影すると良いでしょう。

空間を生かす

想像をかき立てる


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著者プロフィール

岡嶋 和幸

岡嶋和幸(おかじま かずゆき)

1967年福岡市生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「ディングル」「風と土」のほか著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」「潮彩」「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」「九十九里」「風と土」「海のほとり」などがある。

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