写真が上達するキーワード事典
第1回

「レンズワーク」と「フットワーク」で画面の情報量や臨場感をコントロールする

多くの人がスマートフォンを手にするようになり、日常的に写真を撮るようになりました。近年のスマホはアプリの機能も充実しており、特に写真撮影の知識がなくても、ひとまず使っていれば使い方は覚えられるものです。

ただ、TLで見かけたインフルエンサーの写真のような、目を惹く写真を撮りたい!となると、用語の意味を知る必要が出てきます。

写真が上達するキーワード事典」では、写真撮影にまつわる100の用語を個別に解説。本格的に写真を学ぶにあたって頻出する用語について理解を深めることができます。

本記事では「レンズワーク」について解説します。

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レンズの焦点距離を変えて写したい範囲を選ぶ

ズームを操作したり、レンズを交換したりなど、焦点距離を変えて写したい範囲(画角)を選ぶことを「レンズワーク」と呼んでいます。これに対し「フットワーク」とは距離や高さ、角度など撮影する位置を変えるために、自分の足を使って動くことです。両者をどのように組み合わせるかがポイントとなります。

近づかないと被写体を大きく写すことができない広角レンズですが、望遠レンズとは違った独特の迫力感や臨場感が表現できます。被写体と撮影者の距離感は画面からストレートに感じられます。近づいて撮影できるということは被写体と近しい関係であることの証しでもあるため、写真を見る人に親近感や親密感を伝えることができます。

例えば 望遠レンズで遠くから切り取った写真は、距離が離れていることはもちろん、被写体との関係性もそれほど近くないように見えます。カメラの存在が分からないように撮影したいときなどはそのようなアプローチの方法も有効ですが、親近感や親密感を表現したい場合には、広角レンズで被写体に迫って撮影すると良いでしょう。

被写体に積極的に近づくことができなければ、広角レンズだと画面に対して小さくしか写らないため散漫な印象の構図になりがちです。もちろん周りの様子など臨場感も表現を伝えるための大切な要素です。ただ被写体に接近するだけでなく、ポジションやアングル、レベルなども意識しながら画作りを行うと良いでしょう。主役や主題を意識してシャッターを切っても鑑賞者にそれが伝わりにくいことがあります。何を表現したいのか、何を一番見せたいのかが分かりづらいのです。そのようなときは被写体を画面いっぱいに大きく切り取ったり、周りにあるほかのものをぼかしたりすると良いでしょう。望遠レンズではそのような情報整理を実践しやすくなります。

被写界深度が浅くなりがちな望遠レンズでも、離れた場所にある被写体であれば 絞りをそれほど意識しなくてもシャープに写しやすくなります。圧縮効果によりダイナミックな印象の写真に仕上げることも可能です。画面内に遠近があるときや被写体までの距離が 近いときはパンフォーカスになりにくいので、絞りを絞った方が良いでしょう。

接近して遠近感や親密感を強調する

28mm、F5.6、1/125秒、ISO 100

被写体に思いっきり迫ることで、広角レンズの広い画角を効果的に生かした表現が可能になります。遠近感が強調されるなど望遠レンズとは大きく異なる描写です。近づいて撮影するため、被写体との親近感や親密感が鑑賞者に伝わりやすくなります。周りの様子も一緒に写し込めて、臨場感のある写真に仕上がります。

周囲の状況を写し込んで臨場感を出す

35mm、F4、1/60秒、ISO 200

画角が広いため、背景など被写体の周りの様子も一緒に写し込むことができます。望遠レンズのように背景が省略されにくく、臨場感のある表現になります。その特徴を生かすには撮影するポジション、レベル、アングルなどの工夫が大切です。写し込む要素、被写体と重なり具合などしっかりと意識しましょう。

被写体を引き寄せて画面を整理する

200mm、F11、1/250秒、ISO 100

大胆なレンズワークで迫力のある表現になります。広角レンズであれこれ欲張って画面に入れると散漫な写真になりがちなので、ポイントとなる部分だけを望遠レンズで抜き出してみると良いでしょう。大きく引き寄せて画面を整理することで主役が明確になり、遠くにあるものも鑑賞者に伝わりやすくなります。

背景をぼかして主役を浮き立たせる

400mm、F2.8、1/250秒、ISO 200

望遠レンズは被写界深度が浅めの傾向なので、被写体を画面いっぱいに大きく切り取ることで背景もぼけやすくなります。一番見せたい部分を浮き立たせることができて存在感が強調されます。画角が狭いぶんブレが目立ちやすくなりますが、大口径のレンズは開放F値が明るく有利で、大きなボケも期待できます。


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著者プロフィール

岡嶋 和幸

岡嶋和幸(おかじま かずゆき)

1967年福岡市生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「ディングル」「風と土」のほか著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」「潮彩」「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」「九十九里」「風と土」「海のほとり」などがある。

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