オールドレンズ銘玉セレクション
第9回

一眼レフ向け大口径黎明期の高性能レンズ

写真撮影の道具たるカメラはその誕生以来、様々な進化を遂げてきました。それはカメラ自体が持つ機能だけでなく、被写体と直接相対するレンズも同様であり、長い歴史の中で、多くの交換レンズが生まれ、今なお撮影に用いられています。昨今、マウントアダプターの普及に伴って、最新のカメラで古いレンズを使う楽しみ方も広く知られるようになりました。

オールドレンズ 銘玉セレクション」では、国内外のオールドレンズを外観写真や作例とともに紹介。そのレンズが開発された時代における新規性や立ち位置、技術的な背景など、オールドレンズにまつわる知識を深めることができる一冊となっています。

本記事では第4章「時代を駆け巡ったレンズメーカーの栄枯盛衰」より、「Soligor 58mm F1.5」の作例と解説を紹介します。

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オールドレンズ銘玉セレクション

一眼レフカメラの発展に寄与したメーカー Miranda Camera「Soligor 58mm F1.5」

1960年以降国内販売を停止して輸出のみに絞った関係で国内では発売されなかったミランダD型の標準レンズ。

ミランダカメラの全身はオリオン精機産業として世田谷に設立される。設立メンバーは萩原章と大塚新太郎で、東京帝国大学付属航空研究所で初期のジェットやロケットの開発に関わった人物である。終戦により、ジェットやロケットの研究が禁止されてしまったので、カメラの修理やマウントカプラーやミラーボックスなどのアクセサリーの生産などを開始した。

いち早く一眼レフカメラの可能性を感じた彼らは1954年にフェニックスカメラの試作に成功した。その後、フェニックスカメラを改良し1855年にミランダTを発売した。ミランダTは国産カメラ初のペンタプリズムを搭載したカメラで当時最新鋭の機構であった。ミランダという名前の定着もあり1957年に「ミランダカメラ株式会社」に変更。今回紹介するレンズは1960年に発売されたミランダD型に装着されていたとされるものだ。そのころミランダは海外でしか発売されていなかったので、その存在は謎だ。

SONY α7R 開放1/125秒 ISO250 WB:マニュアル RAW モデル:姫宮らん 逆光のフレアの中でも描写力が落ちない。1960年頃といえば、まだ一眼レフ用大口径レンズは黎明期であるが素晴らしい写りだ。
SONY α7R 開放1/250秒 ISO64 WB:マニュアル RAW モデル:姫宮らん 光をしっかりコントロールすれば強烈な立体感を生む。解像力、解像感、コントラスト、発色すべてが高いレベルでまとまっている。
ミランダバヨネットマウント 中古価格:15万円~ カタログにスペックだけ載っていたが、写真の掲載はなく長い間幻とされていたレンズ。海外ではごく少数流通しているようだ。

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