写真撮影の道具たるカメラはその誕生以来、様々な進化を遂げてきました。それはカメラ自体が持つ機能だけでなく、被写体と直接相対するレンズも同様であり、長い歴史の中で、多くの交換レンズが生まれ、今なお撮影に用いられています。昨今、マウントアダプターの普及に伴って、最新のカメラで古いレンズを使う楽しみ方も広く知られるようになりました。
「オールドレンズ銘玉セレクション」では、国内外のオールドレンズを外観写真や作例とともに紹介。そのレンズが開発された時代における新規性や立ち位置、技術的な背景など、オールドレンズにまつわる知識を深めることができる一冊となっています。
本記事では第2章「歴史に残る銘玉」より、「Charles Chevalier ‘Photograph à Verres Combinés 250mm F5.6’」の作例と解説を紹介します。
写真用レンズの源流「Charles Chevalier ‘Photograph à Verres Combinés 250mm F5.6’」
1839年にルイ・ジャック・マンデ・ダゲールにより発明された「ダゲレオタイプ」が世界初の写真術といわれている。これまでもレンズやカメラ的なものは存在したが、フィルムにあたる部分がなかった。ダゲールが発明したのはこのフィルムの部分にあたる。正確にいうと彼の師にあたるニエプスの研究を引き継ぐ形でダゲレオタイプを完成させたといわれている。そのダゲレオタイプのカメラに使われていたのがシャルル・シュバリエのレンズだ。
シャルル・シュバリエは1941年に開催されたフランスの国民産業振興協会のコンペティションでペッツバールと競ったレンズとしても知られる。結果はシュバリエのレンズがペッツバールを上回りプラチナメダルを獲得した。今回紹介するレンズはプラチナメダルを獲得したレンズの改良型にあたる。開放にて撮影をしたが良く写っている。周辺の描写に甘さはあるが1850年代のレンズがこれだけ写っていたとは驚きである。