旅客輸送、物流、防災、救難、軍事など、様々な領域で活躍する航空機。「もしも空を飛べたら、何がしたいか」という人々の願いを具現化し、用途に特化した機体の機能美は、写真の被写体としてもきわめて魅力的です。
「飛行機写真の教科書」では、「飛行機写真」の定義から航空機の種類や運用に関する基礎知識、飛行機撮影に適した機材、撮影場所の選定をはじめ、季節や状況ごとの表現テクニックまで幅広くカバー。
一定の専門的な知識と高い撮影技術を必要とし、難易度が高めの撮影ジャンルではありますが、マスターすれば写真表現に大きく幅を持たせられることは間違いないでしょう。
本記事では、Chapter5「よりよい飛行機写真を目指す」より、構図の中に太陽を入れ込む作画についての解説を抜粋して掲載します。
太陽を入れた作画
光源である太陽をあえて被写体にして、飛行機とかっこよく絡めることもできる。ただし、太陽を見ることは危険なので、十分に注意して撮影しよう。
太陽と飛行機を絡める
写真の光源でもある太陽は、時に被写体にもなる。ただし日中の太陽はあまりに明るすぎ、超望遠撮影は目や撮像素子を焼いてしまうので非常に危険だ。そこで、日の出直後か日没直前の十分に減光された太陽を狙うか、日中であれば広角~標準など短めのレンズを使い、太陽を小さく取り入れるとよい。なお、太陽の視直径は約0.5度で、画面の天地いっぱいに撮影する目安は、フルサイズの画角で2000mm程度のレンズが必要。
唯一の光源を画面内に入れると、当然、飛行機はシルエットになるので、飛行機だと認識できる形状が見えている必要がある。もちろん、ほとんどのテクスチャがシルエットになるので、機首や翼、尾翼など、重要な部分が背景の森などに重なり、飛行機が溶け込んでしまわないよう、できるだけ簡素な画作りを心がけたい。また、シンプルに飛行機と太陽だけなら画面の対角線上に配置するのが無難だが、雲や森など、ほかの構成要素がある場合は、全体のバランスを見ながら決定する。
太陽を取り入れたシーン
夕日をバックに
編隊のループと絡める
機体をシルエットに