四季の空 撮り方レシピブック
第3回

四季の空を撮る!「雷雲」の位置・形を記録しておきたいなら日没直後が狙い目

被写体としての「空」は、誰もが見上げればいつでも目にすることができ、その時々で様々な表情を見せてくれる、身近で手軽な存在です。しかし誰が撮っても「それなり」の絵になる一方で、写真映像作品として「それなり以上」を目指すのであれば、技術を磨き、機材を整えるだけでは足りず、さらにひと工夫もふた工夫も必要になる奥深さがあるジャンルでもあります。

四季の空 撮り方レシピブック」では、日本の四季に見られる気象現象を中心として、「空」にまつわる様々な作例と、撮り方のコツを解説しています。また、機材選びやカメラ設定についても言及しており、様々な条件がありうる気象撮影における勘所を掴むのにも役立つ一冊となっています。

本記事では「四季の空を撮る・夏の空」の章より、「富士山から見た雷雲」の作例を抜粋して紹介します。

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富士山から見た雷雲

雷雲を至近距離で観察するのは危険だが、富士山の五合目からであれば空気の透明度が高く、遠方に発生したその姿を安全に撮影できる。

薄明の雷雲
空がまだほんのりと明るい時間帯に、雷雲の中で稲妻が流れ雲が光る。雲の形や街明かりなどもわかるように、撮影前に発生した雷の明るさを参考に露出を決めた。

山梨県富士吉田市(富士山・吉田口五合目) 6月 20時10分 富士フイルム X-T2 XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR 75mm F2.8 4秒 ISO800 マニュアル露出 WB 晴れ

富士山の五合目(吉田口)は2,300mほどの標高があるため、平地では見上げるしかない雲の姿を、違った視点から観察することができる。雷雲を近くで見るのは危険だが、見晴らしが良く空気の透明度も高い富士山の五合目であれば、遠方に発生した雷雲の構造や変化のようすを真横から安全に観察できる。稲妻は、雲の内部を走るものが多く、時々雲の外部へと飛び出る。そして地面に向かって稲妻が流れると、あたりを明るく照らす。雷は1時間以内で止むことが多い。

昼間の雷雲
明るいうちに、山から見える雷雲を確認しておき、あらかじめ撮影場所と焦点距離を決めておく。この雷雲は消えたが、新たな雲が発生すると予想して暗くなるのを待った。

山梨県富士吉田市(富士山・吉田口五合目) 6月 17時56分 富士フイルム X-T2 XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR 131mm F7.1 1/900秒 ISO200 アベレージ測光 +0.3EV WB 晴れ

雷は、稲妻が良く見える夜間の方が撮影しやすいが、雲の位置や形も記録したい場合には、少し空が明るい方がいい。日没直後の雷雲であれば、周囲の光景とともに稲妻が光るその姿を撮影することができる。こうした光景を撮影するには、日没後の約1時間が狙い目だが、撮影できる時間は短い。雷が発生している状況は、気象庁や電力会社のwebサイトで知ることができるので参考にしよう。写真は全体を暗めにすると、雷がわかりやすくなる。


四季の空 撮り方レシピブック

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