風景写真の便利帳
第9回

第二のフレーミングによってPCで構図の練習をする

デジタルカメラやスマートフォンの性能が上がり、シャッターを押せば誰でもカンタンに美しい写真が撮れるようになった。しかし、「ワンランク上の写真を撮りたい、もっとレベルアップしたい」という人も多いだろう。萩原ブラザーズこと、風景写真家の萩原史郎氏と萩原俊哉氏は、共著の「風景写真の便利帳」で自然風景撮影にかかわるさまざまなノウハウを紹介している。

本記事では「メンテナンス&自主練習編」の「自主的に行う練習」より、トリミングのコツについてお伝えする。

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CHECK POINT!!

  • 広めの画像を元にフレーミングの練習
  • 撮影に行けないときの練習として最適
  • 思い切ったフレーミングにもトライできる

トリミングは是か非か。35ミリフィルムカメラが全盛の頃は、小さなフィルムサイズの性能を最大限に活かすために、可能な限りノートリミングを前提にした撮影が求められた。しかし多画素のデジタルカメラが主流の今は、トリミングについてはかつてほど取り沙汰されることはなくなったようだ。とは言え、トリミングを前提に撮影するのは、一種の甘えを許しているようで、あまり好まれないことも事実である。

ただ、ここで推奨するトリミングとは練習のためのもの。自身のレベルアップを想定してのものだ。レタッチソフトなどで少し広めにフレーミングした画像を開き、トリミング機能を使ってフレーミングを行い、構図を作る練習する。この行為は第二のフレーミングと言ってよく、時間がなくて撮影に行けないときでも、練習ができる。現実の風景を前にしたときほどの効果はないが、撮影ができず家の中で悶々としているくらいなら、絶対にやって損はないトライだ。

普段ならしないような切り取りにもチャレンジすれば、次の撮影で必ずや役に立つだろう。

[撮影データ]中判カメラ 23mm単焦点レンズ(23 mm/35mm換算18mm)絞り優先AE(F11・2秒)+0.3EV補正 ISO200 WB:太陽光

渓流を少し広めに撮影した画像を用意して、これに対してトリミングを行う。岩を中心にする、水を中心にする、両者のバランスを考えるなど、さまざまなトライをすることで、机上での練習が可能となる。

フレーミング例1

フレーミング例2

フレーミング例3

フレーミング例4

フレーミング例5

フレーミング例6

 


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著者プロフィール

萩原 史郎&萩原 俊哉

萩原史郎(はぎはら・しろう)

1959年山梨県甲府市生まれ。日本大学卒業後、株式会社新日本企画で「季刊(*現在は隔月刊) 風景写真」の創刊に携わり、編集長・発行人を経験。退社後はフリーの風景写真家に転向。現在自然風景を中心に撮影、執筆活動中。2015年に初個展「色X情」を開催。東京を皮切りに、仙台、福岡、名古屋へと巡回。

カメラグランプリ選考委員
オリンパスデジタルカレッジ講師・山コミュ管理人
日本風景写真家協会会員(JSPA)

 

萩原俊哉(はぎはら・としや)

1964年山梨県甲府市生まれ。 広告代理店に入社、食品関連の広告制作に配属、カタログ制作、イベント企画等に携わる。 退社後、フリーのカメラマンに転向。浅間山北麓の広大な風景に魅せられて、2007年に拠点を移し、2008年に本格的に嬬恋村に移住。 現在自然風景を中心に撮影、写真雑誌等に執筆。2014年11月にはBS11テレビ番組「すてきな写真旅2」に出演。2020年4月逝去。

書籍(玄光社):
風景写真の便利帳
自然風景撮影 基本からわかる光・形・色の活かし方
自然風景撮影 上達の鉄則60
RAWから仕上げる風景写真テクニック
風景&ネイチャー構図決定へのアプローチ法

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