赤城写真機診療所
第2回

カメラ科:ライカはなぜ高いのか

赤城写真機診療所 ~そんなカメラは捨てなさい~」では、カメラや撮影にまつわる悩みや迷いを「疾患」に見立て、「カメラ科」「レンズ科」「撮影科」「アクセサリー科」それぞれのカテゴリーで、質問を「症状」、回答を「診察」としてカメラや写真、撮影時の疑問に答えています。

「診察」と銘打ってはいますが、要は著者によるお悩み相談。「カメラあるあるネタ」に対する著者の見解を楽しむ一冊となっています。

本記事では「カメラ科」における診察内容の1つを抜粋してお届けします。


ライカはなぜ高いのですか?

クルマも人やモノを運ぶという目的のためだけなら、軽自動車でも外車でも、国産の最高級車でも同じ役割をする。なぜフェラーリやポルシェが高価なのか。あるいは時間がわかれば、500円で売られている腕時計でも問題ないのになぜパテックフィリップが高価なのかという疑問を抱くのが野暮ということと基本的に同じ質問である。

それはまず高価なブランド料を支払っているからだ。それにライカ社は伝統工芸技術と共に世界有数の光学技術を持った中小企業の製品であるからだ。と、いうことで回答は終了してしまうが、これでは納得できない読者のためにもう少し具体的に言えば、国産のカメラのように大量生産のカメラではないということもコスト高になっている事実としてあるわけだ。

外装カバーを真鍮製の削り出しにしたり、内部にも手作り的な要因がたくさん残されている。とくにMシリーズなど、最新のデジタルデバイスを旧来のレンジファインダーの仕組みの器と融合させるという無茶ぶりをやってのけている。レンズについてもきわめて凝った設計を行ったり、高価な硝材を採用したり、外装の仕上げやフォーカスリングのロータリーフィーリング、組み立て精度に至るまで、とことんこだわっているので、大量に生産できるものではなくなっている。

つまり、本来の機能や目的ではないところにまでカネがかけられ、モノとしての存在価値を高めようとしているからである。これで高価にならないほうが不思議ではないか。

どうしてライカは高いのか。それはこの佇まいの美しさからも一目瞭然である。所有感の満たされる「いいモノ」だ。

イラスト:大村祐里子


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著者プロフィール

赤城 耕一


(あかぎ・こういち)

1961年、東京生まれ。東京工芸大学短期大学写真技術科卒業。出版社を経てフリーに。雑誌、コマーシャル、企業PR誌などで人物撮影を主に担当する傍ら、戦前ライカから最新のデジタルカメラまでレビューも行うカメラ好き。カメラ雑誌、書籍など執筆多数。
「銀塩カメラ放蕩記(アサヒカメラ)」「ボケてもキレても(月刊カメラマン)」連載中。

書籍(玄光社):
中古カメラはこう買いなさい!
ズームレンズは捨てなさい!

Twitter:@summar2
ブログ:赤城耕一写真日録


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