大村祐里子の身近なものの撮り方辞典
第6回

撮影手法や機材を工夫して「スカイツリー」の魅力を演出してみよう

「身近なものを作品にする」大村祐里子さんの撮り方辞典、第6回のテーマは「スカイツリー」。巨大建造物であるスカイツリーは、単に撮るだけでは同じような印象の写真になりがちです。「同じ被写体を飽きられないように見せる」ためには、様々な工夫が必要になってくるのです。

撮影のポイント

1. 同じ被写体を様々な角度・手法で撮り続けると撮影の腕が上がる。
2. 普段使わない技術や機材で、バリエーションを撮る。

キヤノンEOS 5D Mark III Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZE f2.8 1/2000秒 ISO200 評価測光 WB: マニュアル RAW

墨田区押上周辺を歩いていた時、電柱に取り付けられたミラーにスカイツリーが写っているのを発見して、思わずシャッターを切りました。なんだか缶バッチみたいだなと。被写体は必ず正面から堂々と写さなければいけないものではないと思います。たまには、鏡に映った被写体を写す、というのもありではないでしょうか。

飽きない工夫を

わたしは、自分の写真のバリエーションを増やすために、あえて同じ被写体をいろいろな角度や手法で撮ってみたりします。スカイツリーはその良い題材だと思っています。人物や動物と違って動かないので、より手腕が試されます。「自分の撮ったスカイツリーの写真をずらりと並べた時に、果たして飽きずに最後まで見られるか?」と常に自問自答しながら撮影しています。たまには同じ被写体を、自分の手で色付けていくのはいかがでしょう。

普段あまり使わない技術や機材を

作品にバリエーションをつけるには、普段あまり使わない技術や機材を思い切って採用してみるのも一つの手です。わたしが写真に変化をつけたい時によく使う技術は「多重露光」です。感じたことをそのまま表現できますし、意外な画に仕上がるので気に入っています。また、アナログなカメラを使ってみるのも面白いです。最近はライカ ゾフォートという、インスタントフィルムを使えるカメラで撮影したりもします。きちんと写らないのが新鮮です。

富士フイルムFUJIFILM X100T f2 1/30秒 ISO200 マルチ測光 WB: マニュアル RAW

車で高速道路を走っていた時(※わたしは後部座席に乗っていました)、対岸に見えたスカイツリーが神秘的な雰囲気を醸し出していたので、急いで窓越しに撮影しました。この日は猛烈に天気が悪く、あたり一面に霧が立ち込めていましたが、かえってそれが効果的な演出になったと思います。スカイツリーの不穏な存在感を際立たせたかったので、被写体をどセンターにもってきて、「THE日の丸構図!」にしました。こういう妖しいスカイツリーも好きです。

キヤノンEOS 5D Mark III Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZE f1.4 1/30秒 ISO800 評価測光 WB: マニュアル RAW

夜、ある建物の中からスカイツリーを眺めていました。ライトアップがきれいだったので撮りたいと思ったのですが、撮影場所が限られていたので、普通に撮っただけではつまらない写真になってしまうと考えました。そこで、スカイツリーを撮影したあとに、近辺のネオンをぼかして撮ったものを重ねました(多重露光)。スカイツリーにネオンが被らないように意識してフレーミングしました。「わたしにはこの日のスカイツリーが、キラキラして見えていた」ということが伝わったらいいなと思います。

キヤノンEOS 5D Mark III Carl Zeiss Makro Planar T* 2/50 ZE f2 1/30秒 ISO800 評価測光 WB: マニュアル RAW

日中、ひとつ前の写真(上の多重露光の写真)と同じ場所から、ライカゾフォートを使って撮影したスカイツリーの写真を、また別のカメラで撮影したものです。なんだか「記憶の中」という感じで面白くないですか?わたしは写真を写真に撮るのも好きです。組写真にした時、こういった変化球の一枚があると、より飽きずに見られる気がします。


「大村祐里子の身近なものの撮り方辞典」はフォトテクニックデジタルで連載中です

フォトテクニックデジタル 2018年4月号

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著者プロフィール

大村 祐里子


(おおむら・ゆりこ)

1983年東京都生まれ
ハーベストタイム所属。雑誌、書籍、俳優、タレント、アーティスト写真の撮影など、さまざまなジャンルで活動中。雑誌連載:『フォトテクニックデジタル』にて「身近なものの撮り方辞典」を連載中。

ウェブサイト:YURIKO OMURA
ブログ:シャッターガール
Twitter:@Holy_Garden


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