町撮りアート写真ブック〜思いつくままに写真を撮って楽しむ〜
第1回

カメラでアートしよう!町撮り写真は気づくことから始まる

「考えるような被写体はいらない。絵になる絶景もいらない。決定的瞬間もいらない。何か気になるのがアート写真。ありふれた町風景もアート写真」写真家の丹野清志氏は、著書「町撮りアート写真ブック」で、町で見つけたものを、思いつくままに写真を撮って楽しむことを勧めています。

町撮りアート写真ブック

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「町撮り」とは、ずばり町を撮ること。

では、町の何を撮るのかということになりますね。観光旅行だとその町らしいとされるおすすめ撮影スポットとなるのでしょうがアート写真は町を紹介する観光写真ではないので、よく知られた町や場所にはこだわらない。どちらかといえば知られていないところを歩くほうが面白い。先入観を持たずに町を見ることができるからです。

本書の題は「町撮り」ですが、町、街、まち、マチ、都市、タウン、シティ・・・と文字の違いでイメージが変わるように、町の解釈は撮る人と町とのかかわり方によって違ってきます。

同じ町を10人が歩いたら、10人のカメラの目がとらえた異なる町写真があらわれることになります。
市街地の繁華街は町撮り舞台の主役ですが、町はずれのほど良い寂れかげんの風景がまたいいのです。さらに町の周縁を歩くとなぜか奇妙なモノや不思議な風景との出会いがあり、嬉しくなります。いずれにしても、町撮り写真の被写体は「町」というにあるものすべてなのです。

テーマを設定して、撮る目的をしっかり決めて歩く人もいるでしょうが、私などはとりあえず町へ出てとりとめもなく歩きまわって、気になったものを撮っている。

そんなふらふら歩きで何を撮るのですか。

そう問われたら、きちんと町撮りについて説明しなければいけないのでしょうが、なんだかおもしろそうなものがあるよ、という興味でカメラを向けているのでスッと答えが出てこない。

歩いて見つけます。私はそれでいいんじゃないかと思っているのです。

ここはこう撮らねばならぬと頭ン中で考えながらカメラ構えてたら、頭痛をおこしちゃう。思い込みが強すぎるとああだこうだと作画を考えすぎて、いい写真を見逃しまうものです。撮りたいと思ったら撮る。それでいいのです。

これは私の口癖ですが、写真はすべて気づきから始まります。肉眼では何の変哲もないものに見えているものが、レンズを通うすと不思議な世界があらわれる。それが気づきです。その瞬間、被写体への興味がアート写真の素材に変わるのです。

丹野清志の町撮り写真ギャラリー

 

 

 


<玄光社の本>

町撮りアート写真ブック

著者プロフィール

丹野 清志

(たんの・きよし)

1944年生まれ。東京写真短期大学卒。写真家。エッセイスト。1960年代より日本列島各地へ旅を続け、雑誌、単行本、写真集で発表している。写真展「死に絶える都市」「炭鉱(ヤマ)へのまなざし常磐炭鉱と美術」展参加「地方都市」「1963炭鉱住宅」「東京1969-1990」「1963年夏小野田炭鉱」「1983余目の四季」。

主な写真集、著書
「村の記憶」「ササニシキヤング」「カラシの木」「日本列島ひと紀行」(技術と人間)
「おれたちのカントリーライフ」(草風館)
「路地の向こうに」「1969-1993東京・日本」(ナツメ社)
「農村から」(創森社)
「日本列島写真旅」(ラトルズ)
「1963炭鉱住宅」「1978庄内平野」(グラフィカ)
「五感で味わう野菜」「伝統野菜で旬を食べる」(毎日新聞社)
「海風が良い野菜を育てる」(彩流社)
「海の記憶 70年代、日本の海」(緑風出版)
「リンゴを食べる教科書」(ナツメ社)など。

写真関係書
「シャッターチャンスはほろ酔い気分」「散歩写真入門」(ナツメ社)など多数。

著書(玄光社)

「写真力を上げるステップアップ思考法」

なぜ上手い写真が撮れないのか
町撮りアート写真ブック
ニッポンぶらりカメラ旅
お気に入りカメラで楽しむ自分流町歩き写真の方法
写真集のつくり方
写真教室では教えない“新スナップ写真”の方法
誰も教えなかった “自分流写真”の方法
[四季を味わう]ニッポンの野菜

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