アニメーション作品において、ある事象や現象の「動き」を表現するにあたっては、主体となる登場人物や物体を動かすほかに、動きに伴って環境に変化が起きたことを示す「エフェクト」の描写が必要です。
作品世界で起きた現象を表現するのにきわめて重要な要素でありながら、それ単体では注目されにくい「エフェクト」。アニメーターは現実に起こりうる現象から、物理法則を無視した表現にいたるまで、あらゆるシーンで説得力のある視覚効果を描く必要があります。
「アニメーションのエフェクト作画テクニック」では、「弱虫ペダル GLORY LINE」や「楽園追放 -Expelled From Paradise-」などの作品でエフェクト作画監督をつとめたアニメーターの小澤和則さんが、様々なエフェクトの作画技術を伝えています。「炎」「水」「風」「光」「爆発」などの様々なエフェクトについて動感を出すコツを解説しながら、「炎+煙」など、複数のエフェクトを組み合わせて見せる表現方法にも言及しており、アニメ作画の幅を拡げる実践的な内容です。
本記事では、Chapter6「その他」より、地面や岩など硬いものが「破壊」される際のエフェクトについての解説を抜粋して紹介します。
シンプルな破壊表現
破壊のシンプルな表現方法です。地中から何かが飛び出してきた場面や何かが着弾した時にも使えます。中心部分が盛り上がって、破片をシルエットで散らしながらゆっくりと放射状に広がっていくように描きます。大きな破片は動きを追うようにして、小さい破片はランダムに配置してくるくる回しておけば破壊されているように見えます。
破壊が始まった瞬間は早く、そして崩壊したあとはゆっくり放射状に破壊されていく様子を描いていきます。
地面の破壊
これは地面が奥から手前にめくれながら破壊されているイメージです。衝撃波によって破壊されていく感じですね。
破片のバリエーションと描き方
爆発の際に飛び散る破片の描き方です。ガラスの場合はある程度の厚みを持たせるように注意してください。
あとは側面部分とかにハイライトを入れてくるくる回せばガラスに見えます。地面などの場合は四角い破片を回転させておくとそれらしく見えます。その際、描き込んでいる丸や三角に注目してほしいのですが、きちんと一定方向に回転していることに注意して描いてください。金属系の場合は厚みを持たせるのを忘れないように。ちなみに僕の場合、破片とかは全部2コマ打ちとかで自分で描いて中割りは入れていません。
ガラスなど
地面、瓦礫など
金属など