ミリタリープラモデル、とりわけ航空機模型の中でも、機体の緻密な再現性や組みやすさで定評のあるタミヤ「1/48傑作機」シリーズは、モデルとなった機体への綿密な取材によって再現されたディテールやギミックが特徴です。
ホビージャパンの「飛行機模型製作の教科書 タミヤ1/48傑作機シリーズの世界 レシプロ機編」では、本シリーズに属する機体の組み方や塗装の手順を詳細に解説。豊富な作例もさることながら、組み立てや塗装に必要な道具や接着剤、塗料などの解説も網羅しており、初めて航空機模型に挑戦する人にも優しい構成となっています。
本記事では「組み立て基本編」より、説明書の見方、パーツの切り出し方、合わせ目処理といった、航空機模型を組み立てる際の基礎について紹介します。
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飛行機模型製作の準備をしよう!
初めてタミヤの1/48 傑作機シリーズから作りたいキットを買ってきてワクワク状態のあなた。ここではそんなあなたのためにすべてのキットの基本となる「組み立て」の基本をご紹介します。早速キットの箱を開けてみましょう!
パーツがはまっている枠をランナー、右上のシートのようなな物がマーキングを再現するデカールです。デカールは水に浸して、浮いた物をパーツに貼り付けて使用する水転写デカールになります。
組立説明書をチェック!
キットの組立説明書のトップページ。ここには機体解説が掲載されており、ここを読むことでこの機体の基礎知識を得ることが出来ます。製作前や、製作途中の休憩などに読むのがオススメです。
製作開始……パーツのイラストの周りにいろいろな番号がふられていますね。初めての場合はちょっと混乱すると思います。まず「A○○」や「F○○」というのは、キットのパーツが付いているランナーの種類と、ランナーの中の番号になります。「A3」だったら、Aランナーの3番のパーツという意味です。また黒い図形に「X-18」などがある指示は、タミヤの塗料のカラーナンバーで、この色で塗ると良いですよというものです。
次にチェックしておきたいのが、実は塗装図。なんで? と思われるかもしれませんが、実はどの塗装&マーキングパターンを作るかで、取り付けるパーツが変わったりもします。自分がどのパターンを作るかを先に決めておけば、パーツの付け間違えも防げるのです。
必ずお読みくださいおじさんの注意事項。ここには必要な工具やカラーなどが掲載されています。特にここで紹介されている基本工具はきちんと揃えておいてください。
この胴体部分の図を見てみます。網掛けになっている部分がありますね。ここは塗装指示になります。特に胴体の中は組んでしまうと塗るのがちょいとめんどいので、先に塗っておくときれいに塗れますよというアドバイスでもあります。
意外と見落としてしまうのが「穴」を開口する指示です。このような部分は周囲に注意書きなどもありますので、ペンなどでマークして目立つようにしておくと良いと思います。
開口する部分には軽く穴が開いていて、目安となるアタリが用意されている箇所もあります。開口する場合はこのようにドリルで穴を開けてあげましょう。
このようにパーツの選択を指示している部分はしっかりと確認してください。どのパーツをつけるのか? キャノピーは開閉どちらにするのかなど決めて組み立てましょう。
このキットのように、原寸の塗装図が付属することもあります。より詳しく塗装パターンが確認できる他に、これを迷彩パターンで切り抜いてマスキングシート代わりにすることも可能です。
パーツの切り出しは大事です
それではパーツの切り出しに! パーツの切り出しは本当に大事で、良く切れるニッパーで、きれいに切り出すだけで完成度がまったく変わります。このタミヤの先細薄刃ニッパー(ゲートカット用)(3132円)は特に繊細なパーツの切り出しにも向いているので、ぜひ1本揃えてほしいです。
パーツをカットします。ランナーとパーツを繋ぐ部分をゲートと呼びます。このゲートを少し残し気味でカットするようにします。ニッパーの刃は先端よりも真ん中のほうが力が均等に加わり、きれいにカットすることができます。
上はゲートを残し気味にカットした状態です。
残し気味にカットしたゲートを切ります。ニッパーとパーツをしっかりと密着させてカットします。このように2度切りすると、よりきれいにパーツを切り出すことができます。
クリアーパーツなどの繊細な切り出しは、ゲートを残し気味にした部分をデザインナイフでカットしてあげるときれいに切り出せます。また、ニッパーの切り出しでゲートを除去しきれなかった場合も、デザインナイフでカットしてあげましょう。
接着剤の使い分けを覚えよう!
キットは基本接着剤を使用して組み立てていきます。接着剤には流し込み用(左)とある程度粘度があり、蓋と一体になったハケでぺたぺたと塗るもの(右)の2種を主に使い分けます。
白い蓋の粘度のある接着剤は、このような細かいパーツの取り付けなどに便利です。取り付け軸や接着面に少量チョンチョンと塗り、接着しましょう。またこのような細かいパーツの保持にはピンセットは欠かせません!
流し込み接着剤は、胴体や翼の貼り合わせに適しています。これは翼のパーツ。このように上下に貼り合わせる構成です。
パーツ同士を合わせた部分に、接着剤を含ませた筆の先をチョンと乗せると、接着剤が流れ込んでいきます。接着剤のはみ出しなども少なくすみ、きれいに接着することができます。
胴体のパーツも、このようにパーツ同士を合わせて流し込み接着剤を流してやれば接着完了です。
コクピットは先に組むの?
飛行機模型の多くはまずコクピットを組みます。このように小さなパーツの集合体となります。塗装をする際はこのようなパーツ状態で塗ってしまうと良いでしょう。
このようにコクピットは貼り合わせた胴体の下から入れたり、胴体と挟み込んで一緒に接着したりします。つまりコクピットを完成させてから次のステップに進むことが多いから、先にコクピットを作るということになります。コクピットは基本色をさっと塗るだけでも意外と問題ないので、そこはお好みで作っていきましょう!
コクピットができると一気に飛行機らしい形に組み上げることができます。飛行機模型のハイライトの1つです。この状態を「士の字になる」とも言います。
パーツの合わせ目の処理
先ほど接着した翼のパーツのアップです。このようにパーツとパーツが合わさって、本来の機体には無いラインができています。また接着剤も微妙にはみ出して膨らんでいます。このような部分は完全に乾燥した後にヤスリをかけてきれいに均してやります。
流し込み接着剤のはみ出しを利用すれば、きれいに合わせ目のラインを消すことができます。この接着剤のはみ出しがパテのような役割を果たして、ヤスリで削れば合わせ目が埋まります。
合わせ目を埋めることができました。他の合わせ目も同じ方法で消してやりましょう。
パーティングラインを処理しましょう
フィギュアの側面に走る樹脂のライン。これは金型の成型上できてしまうもの、パーティングラインと呼ばれています。これを除去すると、パーツ本来の形状になります。
カンナがけのように、デザインナイフの刃先を横に移動させて削っていきます。ほとんど削れたら仕上げに紙ヤスリなどで整えてあげます。
パーティングラインを除去しました。ご覧のように見映えが良くなりました。