トミーのコンセプトアート教室 マンガと添削で楽しく学べる!
第8回

コンセプトアートの秘訣「明暗差と構図で見せたいポイントへ視線を誘導する」

人の頭の中にある概念や構想、いわゆる「コンセプト」を他者に伝えようとするとき、絵の力は強力に作用します。遠い将来や、開発前の製品など、具体的な像が定まらない目標に向かうことはとかく困難になりがちですが、「目的を達成した後の世界」を絵として具体化し、他者と同じイメージを共有することで、一つの完成形や目標に向かって、迷いなく進むことができるようになるのです。

トミーのコンセプトアート教室 マンガと添削で楽しく学べる!」では、コンセプトアーティストの富安健一郎さんが、コンセプトアートの考え方と始め方、上手なコンセプトアートの描き方を、佐倉おりこさんのマンガとともに詳しく、かつ、わかりやすく解説しています。

後半では、事前に公募したコンセプトアートの添削や、富安さん自身によるコンセプトアートの制作手順も紹介。初めてコンセプトアートを描こうと考えている人にも実用性の高い内容となっています。

本記事では、PART2「トミーの添削教室」より、事前に公募したコンセプトアートの添削を抜粋して紹介します。

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トミーのコンセプトアート教室 マンガと添削で楽しく学べる!

テーマ:短いシナリオから描く「奈落堂」

作成者:菅野翔一

Original

シナリオ
地平線まで続くような運河を進み、「どこに向かうのだろう」と思いながらただ美しく鏡のように透き通る水面を私は覗いていました。

しばらく進むと、大きな建物が見えました。「ここはどこですか?」と尋ねると、「黄泉の玄関口『奈落堂』に着きました」とカンコ船をこぐ老人が答えてくれました……。

イラストコンセプト
魂はどこに運ばれるのだろうと考えた時に、最初に浮かんだのは神仏を奉る『堂』でした。今回の作品では魂の玄関口をコンセプトに、仏教的な建築物と『灯篭』のようにやさしく燃える魂の光をイメージして制作しました。門を抜けた先に広がる『黄泉の国』は、今まで生きてきた世界とは全く異なる空間であり、描いた僕自身もわかりません。なので、あえて向こう側の世界は何も描かず、作品を見た人に想像力を膨らませてもらうことを意図にしました。

トミーのコメント

素晴らしい!描かれた場所に行ってみたいと思わされる、非常によい作品だと思います。これは明暗を上手く使った、よい例として紹介したい絵です。

絵を一番印象づけているのが中央の門。効果的に明度の差を使っていますね。人の目は明暗の境界に目がいきやすいため、門の形が非常に印象に残りやすくなっています。よくできたデザインは、明度差をとても上手に使っているものです。

見せたいポイントを絞っていることも素晴らしいですね。両端を暗くして真ん中に光を当てることで、見ている人を迷わせません。さらに建物の構造も独特で面白い。人々も宴会していたり歩いていたりして、音や匂いが感じられそうです。

Tommy’s Check

Check1
メインの建物の後ろが見えなくなっているのがいいですね、焦点を絞れています。

Check2
単純な円形にしなかったことが素晴らしい。ちょっとしたディテールがあることで、実際にありそうな感じがします。

ZOOM
この船の入れ方、おしゃれですね! 登場人物を抑えているので、赤い傘を持った人が目立ち、その人の気分になれるようになっています。


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