比較でわかる初心者デッサンの教科書
第2回

デッサンの技術・使えばいいというものではない?「透視図法」の使い方


多くの領域における「技術」は、それぞれの分野において確固たる基本、基礎の上に成り立っているものです。

では、「絵の腕前を上達させたい」と思ったときに基本となる技術は何でしょうか。その一つとしてよく挙げられるのが「デッサン」です。描こうとしているものの形や構造、光の当たり方と陰影の出方をよく観察し、認識し、できるだけ正確に表現すること。それは現職の中にも改めて習うプロがいるほどに重要な技術です。

比較でわかる初心者デッサンの教科書」では、基本的な図形から立体表現、透視図法、陰影のトーン、素材感、光沢、構図など、絵を描く上で基本的な知識を豊富な作例と図解で解説。改善前と改善後のデッサンを比較できる形で提示し「ありがちなミス」への気づきを促す構成となっています。

本書はアナログ画材でのデッサンを練習する主旨の書籍ですが、本連載ではデジタル環境での練習にも応用して使える知識や概念を中心に掲載します。

本記事では、第1章「基本形体から始める」より、立体的な表現に関連する透視図法とその使いどころに関する記述を抜粋して紹介します。

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比較でわかる初心者デッサンの教科書

正しい透視図法を知る

直方体などの角度のあるモチーフを描く場合、透視図法を用いる方法があります。それぞれの透視図法の正しい用い方を理解しましょう。

一点透視図法
直方体のすべての辺を奥へのばすと、1つの消失点に収束する遠近法をいう。

二点透視図法
直方体の2つの側面が見える位置にある場合で、すべての辺を奥へのばすと、2つの消失点に収束する遠近法をいう。

改善前:一点透視図法での勘違い
自分から離れた位置のモチーフを一点透視図法を用いて描くと、現実のパースとは違ってくる。

改善後:一点透視図法の正しい用い方
自分のほぼ正面(安定視野範囲)にあるモチーフで図法を用いると、正しいパースで描くことができる。

透視図法による印象の違い

図法は片目(単眼)で考えられているものなので、図法を使って描くとあらゆる角度がきつくなり、現実で見ているものとは違ってきます。

比較

一点透視図法を用いたブロックのデッサン

自然に見て描いたブロックのデッサン

アドバイス
人間の目は複眼のため、パースがきつすぎると不自然に見える。

比較

二点透視を用いた直方体デッサン

手前の角度がつきすぎている。

自然に描いた直方体デッサン

 

モチーフと比較しながら描く

デッサンにおいて、透視図法は形を修正するための参考として用いるとよいでしょう。使い方を誤ると比率が不自然になるので注意が必要です。

失敗例:二点透視図法で巨大化した直方体
二点透視を極端に用いると比率が狂って巨大化してしまう。

アドバイス
透視図法は二次元画面に三次元を作図する技法である。しかし、知識として知っている必要はあるが、デッサンは製図ではないため、使用は控える。

改善前

改善後


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