色気のある男の描き方
第10回

色気のある男の描き方のヒケツ〜色のトーンと塗り方でキャラクターのイメージを操作する

イラストレーションにおいて、男性キャラクターの美しさ、かっこよさ、セクシーさを表現するポイントは、骨格や筋肉の付き方、仕草、ファッションなど様々な点で女性と異なります。物語においては、線の細い美少年から筋肉質な格闘家、年齢を重ねた中高年男性など、人生のステージや立場によって、採用されやすい男性キャラクターの類型がいくつかあります。

色気のある男の描き方」では、「男性の色気」という抽象的で感覚的な概念をイラストとして表現するためのテクニックを紹介。男性の体の構造と女性との主な違い、男性らしい体つきのバランス、顔と体の各パーツや動きのあるポーズの描き方をはじめ、「美形男子」「ハードボイルド」「格闘系」「ナイスミドル」といった類型ごとの描き分け方までカバーしています。

本記事では、CHAPTER4「雰囲気と立体感を付ける方法絵」より、色の塗り方による完成イメージの変化に関する記述を抜粋して紹介します。

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色気のある男の描き方

配色やタッチによる印象の違い

塗り方で質感を出す
色を塗ることで絵の具体的なイメージは高まりますが、さらにリアル感を出すためには人や物の質感を出すことが重要です。色を重ねたり、濃度を付けることで、素材の持つ硬さ、やわらかさ、なめらかさなどを表現します。

基本
着物を着て佇む男。この絵のポイントは、表情と着物の質感。表情は、どこを見つめ何を考えているのか、キャラクターの置かれている状況を強い光と影で表現。着物は、下地に赤を配し、青をのせ、最終的に緑の色合いにすることで渋味を加え、全体的に落ち着いた味わいのある雰囲気に仕上げています。

  • 同じ角度に光が当たる部分(皮膚や服など)の色は同じ色調で彩色し、トーンを合わせます

「軽い」トーン
キャラクターの心理的な状況が深くない時、単に睨んでいるような絵にしたい場合は濃度を抑え、全体のトーンが軽くなるように描きます。服の色も明るい色でまとめることで軽さを出すことで、意図に合った絵に仕上げることができます。

  • 明るい青で仕上げ、シワや影を抑えることで、着物がやや薄い生地の印象に
  • 薄い色使いにより、服の質感がぼやけないように地に赤色を残しています

「重い」トーン
服のイメージで人物の印象を変えることもできます。寒色系を使い、光と影でメリハリを付け、全体のトーンを重くすることで素材の重厚感が出るとともに、人物もシャープな印象が加わります。

  • 寒色系をベースに、シワや影のトーンを深くし、メリハリを付けています
  • 全身を黒くせず、お尻の部分の影を重点的に暗く色塗りすることで絵全体に重厚感が生まれます

色気のある男の描き方

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