色気のある男の描き方
第4回

「キャラ別・男のイラスト色気表現」キャラクターの在りようをデザインする「設定」4類型

イラストレーションにおいて、男性キャラクターの美しさ、かっこよさ、セクシーさを表現するポイントは、骨格や筋肉の付き方、仕草、ファッションなど様々な点で女性と異なります。物語においては、線の細い美少年から筋肉質な格闘家、年齢を重ねた中高年男性など、人生のステージや立場によって、採用されやすい男性キャラクターの類型がいくつかあります。

色気のある男の描き方」では、「男性の色気」という抽象的で感覚的な概念をイラストとして表現するためのテクニックを紹介。男性の体の構造と女性との主な違い、男性らしい体つきのバランス、顔と体の各パーツや動きのあるポーズの描き方をはじめ、「美形男子」「ハードボイルド」「格闘系」「ナイスミドル」といった類型ごとの描き分け方までカバーしています。

本記事では、CHAPTER3「キャラ別の色気表現」より、漫画やアニメでよく描かれる男性キャラ4タイプについて、抜粋して紹介します。

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色気のある男の描き方

描きたいキャラの特徴を定めよう

小説家が物語を創作する前に登場人物の性格、人間関係や生活環境など、細かく"キャラ設定”するのと同じく、漫画やアニメを描く場合、描きたいジャンルと、登場人物のキャラクターを設定することが大切です。

4つのジャンルを例にキャラ作りを考察する

創作物には説得力が求められますが、漫画やアニメにおける大切な要素として、設定に合ったキャラ作りを追求することが挙げられます。読み手との共通認識が深まるからです。ここでは、代表的な4つのジャンル、「美形男子」「ハードボイルド」「格闘系」「ナイスミドル系」に登場する主要人物のキャラ作りについて考えます。

美形男子

少女漫画をはじめ、スポーツ漫画、学園漫画、青春漫画などで取り上げられる代表的なキャラが美形男子。ボーイズラブ系でも見られます。主な登場人物は、目鼻立ちがしっかりとした美男子で8頭身以上。体型は、スリムもしくは細マッチョ系で、カジュアルでファッショナブルなイメージで描かれます。

  • 美形男子では髪型は重要なポイント。髪のボリューム、流れ具合、毛先の跳ねにもこだわりたい
  • シャツの袖をまくるなど、着こなしがカジュアルなのも特徴の一つ。服装は重要なポイントなので、服やパンツのサイズにも注意。男性ファッション誌を参考に描きましょう
  • シャツやズボンのシワもリアルな感じを出します

  • 帽子や髪型など、ファッションで個性を出しましょう
  • バッグや装飾品などの小物は、キャラに合わせて描き加えます

ハードボイルド

ハードボイルドでは、ギャングや刑事の攻防戦など、シビアな場面が多くなるため、登場人物も渋みのある人物描写が多くなります。拳銃などの小物はもちろん、酒やたばこを持つ仕草などにもこだわりが必要です。

  • 拳銃の取り出し方や構え、さらには帽子の被り方など、ちょっとした仕草にこだわることで男の渋味が増します
  • 素材の違いによるシワの出方などにも注意を払いましょう

  • たばこの持ち方、くわえ方にも渋みを持たせて描けるようにします

  • ネクタイを緩めたり、パンツのポケットに手を入れるポーズなど、粗野なイメージもまた男らしさといえます
  • ビシッと決めた服装よりも、ダブついた緩い感じの服装にすることで、強面ながらどこか憎めないイメージに

格闘系

格闘系の主人公の精神と肉体を鍛錬し、心技一体となって戦うその姿には純粋なかっこよさがあります。躍動する肉体の美しさを描くなかで、男気や心の強さを表現しましょう。

  • 精神面も鍛えられた凛々しい顔つきがより魅力的に
  • 格闘系の武器はおのれの肉体。鍛えられた肉体を露出させ、肉体の動きを表現することが格闘系の大きな魅力です
  • 主人公キャラは、ボディビルダーのような敵キャラより細マッチョの傾向。「抑えた筋肉+精神の強さの総合力」が高く、敵キャラは「究極の肉体>精神に隙」の設定がよく見られます

  • 髪型で顔を隠すことにより、表情の読めないクールなキャラに仕立てることができます
  • 中性的なファッションで個性的なキャラに仕立てていますが、一部筋肉が露出する服装にして、細マッチョ系の筋肉美を表現します
  • パンツをブーツインするなど、個性的な着こなしでもイメージ作りができます

ナイスミドル系

主人公としてだけでなく、魅力的なサブキャラとしても登場するナイスミドル系。体幹はしっかりしつつもやわらかい立ち居振る舞いが魅力的です。そのため、体のラインにも意識して曲線を取り入れるようにします。設定年齢に応じて、顔にシワや影を描き加えます。

  • 顔にシワを増やさなくても、髪のボリュームを抑えて描くことで加齢することができます
  • ネクタイの柄や装飾品は華美にならないようにします
  • 姿勢や動きによってパンツにシワができますが、センタークリース(中央の折り目)を描くことでスマートな印象を与えます
  • ビジネスシューズに合うパンツの丈は、少したるむ程度が理想。短すぎず長すぎないのが鉄則です

  • イタリア系のファッションなど、スーツの形状や色合いも派手な傾向

 


色気のある男の描き方

 

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