色気のある男の描き方
第3回

男性的な体つきを特徴づける「筋肉」の描き方とは?

イラストレーションにおいて、男性キャラクターの美しさ、かっこよさ、セクシーさを表現するポイントは、骨格や筋肉の付き方、仕草、ファッションなど様々な点で女性と異なります。物語においては、線の細い美少年から筋肉質な格闘家、年齢を重ねた中高年男性など、人生のステージや立場によって、採用されやすい男性キャラクターの類型がいくつかあります。

色気のある男の描き方」では、「男性の色気」という抽象的で感覚的な概念をイラストとして表現するためのテクニックを紹介。男性の体の構造と女性との主な違い、男性らしい体つきのバランス、顔と体の各パーツや動きのあるポーズの描き方をはじめ、「美形男子」「ハードボイルド」「格闘系」「ナイスミドル」といった類型ごとの描き分け方までカバーしています。

本記事では、CHAPTER2「男らしい体を学ぶ」より、男性的な体つきを特徴づける筋肉についての記述を一部抜粋してお伝えします。

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色気のある男の描き方

男らしい体の特徴(正面)

鍛えられた上半身を 首周り意識する鍛えられた上半身は、男らしくセクシーです。ここでは、「首周り」「胸部」「腹部」「肩と脇」について、描くうえでのポイントをご紹介します。

首周り

首周辺には鍛えることで力強いイメージを与える筋肉や男らしさを強調する部位があります。首の後ろにある僧帽筋、首の後ろから鎖骨につながる胸鎖乳突筋をはじめ、三角筋や大胸筋、それに喉仏や鎖骨があります。

 

胸鎖乳突筋
たくましさとセクシーな印象を与える胸鎖乳突筋。耳の後方から鎖骨にかけて伸びる筋のような筋肉です。体型や首周りに合わせ、太さを変えて描きましょう。

 

僧帽筋
後ろ首の根元にハの字に広がるのが僧帽筋です。ボディビルダーなど、マッチョな人に多く見られ、正面からも盛り上がって見えます。大胸筋や三角筋とのバランスを考えて描きます。

 

三角筋
横から見ると、喉仏と鎖骨が張り出しています。肩にある三角筋、鎖骨下にある大胸筋が膨らんで見えます。喉仏や鎖骨などを骨太に描くことで男らしさ、力強さがアップします。

胸部

胸、腕、脇腹にかけていくつもの筋肉が入り組んでおり、それらをキャラに合わせて、バランスよく描くことが大切です。また、マッチョや細マッチョなど、脂肪と筋肉量の割合によって盛り上がり方や張り出し方が違ってきますので注意します。

横から見て目立つのは丸く膨らんだ三角筋と張りのある大胸筋。鍛え込まれた肉体では、脇の後ろにある大円筋がこんもりと膨らんで見えます。

斜めから見た胸部を描く場合は、鍛えられた大胸筋の丸みのあるラインをいかに美しく見せるかがポイントの一つ。やや見える広背筋と前鋸筋の膨らみ、中央部の腹直筋のラインとのバランスをはかりながら描きましょう。

POINT:乳首はどう描く?
男性の場合では存在感の薄い乳首。描く場合のポイントは、目立ちすぎないこと。乳輪部分を薄く着色したり、輪郭を軽いタッチで描くなど、さりげなく描くようにします。

腹部

ボクシングや格闘などで鍛えられた腹部は、女性には見られない男らしさを感じさせる部位です。役割においても、手足が攻撃的な「矛」とすれば胴体は「盾」、鋼のような硬さと力強さを感じさせます。

腹部の筋肉は、左右対称に描くより、たとえば六つに割れた腹斜筋の大きさや形を微妙に変化させることで肉体のリアルな感じが出ます。

胴体の中心部には、シックスパックと呼ばれる腹直筋が中心線の左右にあります。腹直筋の周りを腹斜筋が覆っています。腹斜筋の外側で、肋骨を覆うように存在する鋸のような形をした前鋸筋、さらにそれにかぶさるように脇の下に広がるのが広背筋です。

肩と脇

大胸筋と腹筋は見た目にわかりやすい筋肉です。しかし、それらの筋肉を支える肩や脇の筋肉が貧相であれば、強靭な印象を感じさせません。肩や脇を仕上げてこそ、パーフェクトボディが完成します。

肩:三角筋
男らしい上半身の形状、逆三角形の両端を立派に見せるのが三角筋です。アーモンド型をしていますが、鍛え抜かれるほど半円状に膨らんで見えます。

脇:前鋸筋(ぜんきょきん)
一般の男性には見られない前鋸筋ですが、ボクサーなど、体幹を鍛えている人はボコボコと盛り上がって見えます。腹直筋がやや長方形で板チョコのピースのように平行して見えるのに対し、前鋸筋は鋸のような形で、肋骨に沿って斜めに付いています。

鍛え方によって変わる腹部の筋肉

同じ成人男性でも鍛え方によって腹部の筋肉の付き方も大きく変わってきます。

一般男性
ちょっと鍛えた状態で、大胸筋の発達は見られますが、腹部は皮下脂肪でシックスパックがよく見えない状態です。

 

ボクサー
贅肉がそがれ、腹直筋がはっきりと浮かび、腹斜筋も姿を表しています。

 

格闘家
俊敏性を重視したボクサータイプのボディと違い、殴打されても耐えうる重厚感があります。

 

ボディビルダー
個々の筋肉が十分にトレーニングされ、成長した筋肉で胴体自体が大きく膨らんで見えます。


色気のある男の描き方

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