藤ちょこ ー 美しい幻想世界とキャラクターを描く
第3回

メインキャラクターと背景のラフを描くプロセス〜完成のイメージは色の作り込みから〜

本連載は、鮮やかな色彩と独自に作り込まれた世界観で人気のイラストレーター・藤ちょこさんがキャラクター造形や描き方を解説したメイキング・ブック『美しい幻想世界とキャラクターを描く』から、アジアンファンタジー世界を描いた作品の制作プロセスを追いながら、藤ちょこさんのクリエイティビティの秘密をご紹介しています。

第3回は、メインキャラクターと背景のラフを描くプロセスをご紹介します。

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カラーラフを作る

仮決定したキャラクターデザインを参照しながら、イラストのラフも描き進めていきます。

色から作り込み、完成のイメージに近づける

色からイメージを作り込んでいくことが多いので、ラフの段階で完成に近い色を乗せてしまいます。ラフ段階で完成イメージに近づけることで、その方向で上手く仕上がるかどうかを早めに判断できますし、その後の作業に迷いを生じにくくすることができます。

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POINT─────

ラフの形はざっくりと
色をしっかり作り込む分、ラフの形はざっくりとしています。刀やお供の足の角度など、完成と見比べるとかなり異なっていることがわかります。


背景のラフを描く

キャラクターに色を乗せたら、背景ラフも描いていきます。こちらも色のイメージは完成に近い雰囲気にしつつ、形はよりざっくりとしています。

❶パース線
まず『CLIP STUDIO PAINT PRO』の[パース定規]を使用して下へ向かう一点透視のパース線を引き、これを作画のガイドにします。円を描くように建物が密集している風景を描きたかったので、下へ向かうパース線以外はフリーハンドです。

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❷建物
少しずつ端から埋めていくように建物を描いていきます。

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❸空
背景全面を建物で埋めていましたが、なんとなくパッとしない印象。そこで建物群を真ん中で切り、地平線を作って空が見えるようにしました。

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❹髪
やはり妖怪退治というテーマを考えると、昼よりも夜のほうが似合うのではと思い夜空に変更。暗い夜空の中で映えるように髪を白髪に変更してみたり。

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❺完成
しかし、耳や着物、脚などすでに白っぽい要素が多いので、髪は黒にしたほうが構図がすっきりすると判断。最終的に黒髪に戻してラフの完成です。

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POINT─────

視線が下へと吸い込まれるように
見る人の視線がオレンジ色の袖からキャラクター、そしてスカートの裾へと流れ、最終的に背景の円形の建物へ吸い込まれるような構図にするために、キャンバス自体を少し縦に伸ばし、より上下のラインを強調しました。


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著者プロフィール

藤ちょこ

藤ちょこprof

千葉県出身、東京都在住のイラストレーター。ライトノベルの挿絵や、TCGイラスト、ソーシャルゲームイラストなど幅広いジャンルで活動している。オリジナルイラストも数多く手がけ、 鮮やかで明るい透明感のある色彩や、奥行きを感じさせる構図、背景への丁寧な描き込みが独自の世界観を引き立てている。代表作に『賢者の弟子を名乗る賢者』シリーズ(マイクロマガジン社 著:りゅうせんひろつぐ)挿絵、『八男って、それはないでしょう!』シリーズ(KADOKAWA 著:Y.A)挿絵などがある。2018年現在、初の商業画集となる『極彩少女世界』がビー・エヌ・エヌ新社より発売中


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