【BOOKS REVIEW】『むさしのひみつ』『step – Eguchi Hisashi Illustration Book -』など、イラストレーション編集部オススメの本


『むさしのひみつ』

大河原健太 絵 今本あや子 文
(柊STUDIO 出版)1,800 円+ 税

ケン太の家の“むさし”は自由きままな白い猫。窓際でいつもどおり微睡む午後だと思いきや、ケン太が見ているその前でむさしは自ら窓を開け、ヒュッと外に飛び出した。果たして1匹と1人の行き先は……? 木版画で制作することが多い大河原健太さんだが、本作のためにシルクスクリーンに挑戦。大河原さんが地元・福島で2017年に設立した“柊STUDIO”が贈る、鮮やかで伸びやかな世界がぎゅっと詰まった第1作目。
『むさしのひみつ』


『ふつうやない!はなげばあちゃん』

山田真奈未 作・絵
(福音館書店)1,600 円+ 税/D:新保韻香

ボローニャ国際絵本原画展入選に際し、2009年に出版された絵本『はなげばあちゃん』(パロル舎)がパワーアップして帰ってきました!前作から引き続き“はなげばあちゃん節”は健在で、とにかく堂々自由。僕らは町のキラワレモノだと嘆く猫にも「キラワレモノでええねん」と意に介さず、もぐもぐたこ焼きを頬張ります。山田さんの温かい視線が行き渡る世界の“爽快感”と“安心感”は読んでみてのお楽しみ。
『ふつうやない!はなげばあちゃん』


『step – Eguchi Hisashi Illustration Book -』

江口寿史 著
(河出書房新社)2,000 円+ 税/装幀:井上則人+ 安藤公美+橋本早紀(井上則人デザイン事務所)

2015年に刊行された『KING OF POP』から約3年、それ以降の最新イラストレーションを収録した江口寿史さんの作品集。CDジャケットや書籍、広告の仕事に加え、雑誌挿絵、オリジナル作品や習作など、ファンでもすべてを把握するのが難しいものまで一望出来るのが心憎い。本人による8,000字超えの作品解説は制作秘話多数。ますますパワーアップし続ける江口さんの次回作が既に待ち遠しい。
『step – Eguchi Hisashi Illustration Book -』


『XIE’S CLUB BOOK~鴨沢祐仁イラスト集~』

XIE’S CLUB BOOK制作委員会(平澤直孝・多屋澄礼)編
(P ヴァイン)2,700 円+ 税/D:岡田崇

没後10年を経てなお、稲垣足穂的な文脈で描かれた唯一無二の作風でファンを増やし続ける鴨沢祐仁さんの初イラスト集。代表作「クシー君」シリーズはもちろん、雑誌『ガロ』掲載のデビュー作や広告・書籍・グッズの仕事、未発表原稿「ぶりきのおもちゃのはくぶつかんのよる」などが収められた。鴨沢さんの生前の姿を伺い知ることが出来る、南伸坊さん、湯浅学さん、北原照久さんによる解説も必読。
『XIE’S CLUB BOOK~鴨沢祐仁イラスト集~』



イラストレーション No.219

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