ファンタジー衣装の描き方
第1回

定番のファンタジー衣装の描き方をおさらいしよう

ファンタジー衣装の描き方」では、ファンタジー世界観を持つ作品のキャラクターがまとう衣装のデザインを行う上での発想法と実例を掲載しています。

現代に実在する洋装と和装をベースに、ファンタジー風のアレンジを施す方向性。キャラクターの年齢や性別ごとに適切な服装を例示し、ディテール描写や髪型、小道具をデザインする際の留意点にも言及しており、作画資料としてだけでなく、発想をつなげて新たな装いを生み出す楽しさも学べる一冊です。

本記事ではChapter2「デザインの準備」より、定番のファンタジー世界観における男女のキャラクターそれぞれの服装イメージをおさらいします。内容は一部抜粋。

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ファンタジー衣装の描き方

ファンタジー衣装とは

定番のファンタジーの衣装とそれを纏うキャラクターをおさらいしてみましょう。この線画をそのまま使って配色の練習にしてもよいでしょう。

お姫さま

「お姫さま」をイメージしたリボンのドレスは定番の衣装。リボンと合わせて布のドレープやギャザーを描き、レース素材をイメージして描きましょう。

  • リボンは角を作らずふわっとさせると厚みを表現することができます。
  • 華奢な素材のドレープは細かく描きましょう。
  • スカートの中は、コルセットでドーム型の下着を身につけているので、形を意識して描きましょう。

魔法使い/魔女

魔法使いは、魔女のイメージである帽子とホウキがポイント。キャラクターが若いので、膝下のワンピースにブーツの組み合わせで若く活発な印象に。

  • ざっくりとしたブーツは折れ線を描いて、硬い素材を表現します。

天使

西洋絵画に多く登場する天使。天使の輪と羽をつけ、風にたなびくドレープで軽やかなワンピースを表現します。

  • 翼は、肩甲骨の間くらいから生えているイメージで描くと自然になります。
  • 関節も忘れずに描きましょう。関節から放射状に羽を描き、3段くらい描くと翼らしくなります。
  • 風になびいた時にドレスの構造がおかしくないよう描きましょう。

POINT・名画を参考にする

定番のキャラクターを描く時に、ベースとなる元ネタ、つまり過去に描かれた名画などを参考にするとアイデアの引き出しが増えます。普段から美術館や美術書を見るのももちろんですが、最近では、インターネットでの美術作品の閲覧もしやすくなりました。

たとえば、アメリカのメトロポリタン美術館では、インターネットで作品を閲覧できるサービスを2017年に開始。実に37万点をも超える作品を見ることができます。

男性のファンタジー衣装

男性のファンタジー衣装を着るキャラクターで代表的なものをピックアップして紹介します。ゲー
ムや小説になっているキャラクターが中心です。

勇者

オンラインゲーム、ロールプレイングゲームやカードゲームなどで登場する代表格のヒーロー。一般的にゲームのストーリーとして、村人としてスタートするため、質素な服を着ています。

  • シワのラインを長くすればゆったりとした印象をもたせられます。
  • 衣類と体の間にスペースがあるとゆったり感を見せられます。
  • 膝から下にシワがたまりやすい
  • ゆったりとしたズボンをブーツインするとたくましく見える着こなしになります。

司教・司祭など

頭にミトラ(司教冠)と呼ばれるかぶりものをつけています。ローブのようなゆったりとしたものを着用しボリュームのあるシルエットが特徴です。

  • ミトラは一見平面的ですが、コックの帽子のような形状。模様を入れると立体感を表現しやすくなります。

悪魔

人に限定せず、正体不明にすることで、悪役として際立てやすいです。水牛の牛と骨をかぶりボロボロのロープを着て、長い爪などをもたせます。

ボロボロの布はラフにペンを動かして素材感を表現してみましょう。ただやみくもに描くのではなく、衣裳の構造を考えながら描きましょう。

POINT・小道具のネタを集める

オリジナルのイラストを描く場合、キャラクターにもたせることで小道具も自分でデザインする必要になります。

衣装はやわらかい素材なので、柔軟に表現ができますが、例えば右のイラストの書籍など、パースが取れていないと違和感があるようなものはしっかりした画力も必要となります。

ほかにも、小道具のネタ探しをする場合は、衣装と同様にあらゆる文化のテキスタイルデザインや、パターンデザインなどを日頃から意識して見る機会をもうけておくとデザインの装飾を描く時などに自然と出てくるようになります。


細かい線を入れて木材風のディテールを表現します。

模様を入れることで、奥行き感なども表現しやすくなります。


布のシワを描くことで、水晶玉の重さを表現できます。

 


<玄光社の本>

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