赤城耕一写真展「録々」オリンパスギャラリー東京で開催

2020年12月18日(金)~12月25日(金) オリンパスギャラリー東京

(c) 赤城耕一

東京都新宿区にあるオリンパスギャラリー東京にて、赤城耕一写真展展「録々」が開催される。会期は2020年12月18日(金)~12月25日(金)で入場は無料。

ふだん私たちが何気なく見つめている横長の長方形の世界にあえて枷をかけ、真四角の世界として見つめることがカメラでは可能になる。

これまで長方形の写真は「視線の延長」の世界として考えてきた。肉眼とレンズが見た世界を同一と考えることで、撮影者は自分の見た世界を正しく再現してやろうと試みていたのだ。ところが真四角の写真は視線が画面全体を泳ぐことはなく、多くの場合は中央に注視される。これは視線の延長ではない。

心地よい構図という概念より、被写体を真四角の画面の中央に素直に置いてみることで自分の見たいものを見る人に知らしめたり、画面の中を横切る線を真四角の画面の中で分けてみることで、肉眼で見る世界から分離させることができるのではないかと考えたわけだ。

写真は写真であり、現実ではない謎めいたもう一つの世界である。こう考えるには真四角の中で被写体を見つめるのがいちばん良さそうだ。被写体の魅力だけに頼るのはアサインメントだけで十分である。

ここに写っているものは自分の身の周りにあるものばかり。植物であろうが建築物であろうが人物であろうが、もはや被写体はなんでもいい。被写体が本来のモノの意味や役割や、解釈を超えた何ものかに解き放たれ変貌したとき、私はそれらを四角い画面に閉じ込めるためシャッターを切る。

光の角度やレンズのマジック、肉眼とは異なる遠近感によって、現実から解離し「写った」ものたちは、何かに「化けてくれる」のではと期待を持っている。真四角の画面がそれをより際立たせてくれるからだろう。

本来の意味がそこから奪われる謎を解明しようとする必要はない。写真そのものが被写体の本来の意味や価値を変え、私たちに肉眼で見る世界とは異なるもうひとつの別の世界があることを提示してくれている。

撮る人と観る人とが別の世界を共有することができる写真の機能。この与えられた偶然の出来事に素直に喜びを感じるのである。

(赤城耕一「録々の世界」より)

12月20日(日)14時~15時にはゲストに写真評論家の上野修氏を迎えた作品解説イベントを実施予定。参加は事前予約制で定員は15名。申し込みにはフォトパス会員登録が必要。フォトパスへの登録はこちらから、申し込みはこちらからそれぞれ行える。

<写真展情報>

赤城耕一写真展「録々」
会期:2020年12月18日(金)~12月25日(金)
時間:10:00~18:00
→11:00 ~ 16:00(新型コロナウィルス感染拡大を受け、時間短縮営業を継続します)
会場:オリンパスプラザ東京
住所:東京都新宿区西新宿 1-24-1 エステック情報ビル B1F
会期中無休
入場料無料


赤城写真機診療所 Mark II
Cameraholics select フィルムカメラ放蕩記(ホビージャパン)

著者プロフィール

赤城 耕一


(あかぎ・こういち)

1961年、東京生まれ。東京工芸大学短期大学写真技術科卒業。出版社を経てフリーに。雑誌、コマーシャル、企業PR誌などで人物撮影を主に担当する傍ら、戦前ライカから最新のデジタルカメラまでレビューも行うカメラ好き。カメラ雑誌、書籍など執筆多数。
「銀塩カメラ放蕩記(アサヒカメラ)」「ボケてもキレても(月刊カメラマン)」連載中。

書籍(玄光社):
中古カメラはこう買いなさい!
ズームレンズは捨てなさい!

Twitter:@summar2
ブログ:赤城耕一写真日録

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