#セルフポートレートの裏側 撮影もモデルも全部わたし。
第4回

水を使った演出のセルフポートレートを撮る

ポートレートは専門の写真家がいるほど確立されたジャンルです。カメラを持った人なら一度は撮ってみたいと思ったことがあるのではないでしょうか。
ただ、ポートレート撮影には「モデル」の存在が必須。モデルさんのスケジュールや撮影場所を決めるなど、撮影を始めるまでに多くの段取りが存在します。
そこをヒラリと乗り越えたのが、女性セルフポートレート写真家のRinatyさん。初の著書「#セルフポートレートの裏側 撮影もモデルも全部わたし。」は、自身をモデルとして撮影するセルフポートレートの撮り方、そして撮影の裏側を公開した一冊です。セルフポートレートは、自分がモデルで自分がフォトグラファー。誰もがチャレンジできるジャンルです。
コンセプトは「わたしだけの世界観で、そこに写ったわたしなら好きになれる」。
自分の新たな一面を発見でき、自分のことをもっと好きになれるセルフポートレート作品50点の中から、8点の作品を紹介。第4回は水を使った演出のセルフポートレートです。

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#セルフポートレートの裏側 撮影もモデルも全部わたし。

水に浮かべた紫陽花に埋もれるように撮る

【DATA】
F8●1/25●ISO400
カメラ:FUJIFILM GFX100
レンズ:フジノンレンズ GF32-64mmF4 R LM WR
照明:GODOX AD300Pro/AD200/TT600
撮影地:自宅浴槽

【DATA】
F7.1●1/30●ISO800
カメラ:FUJIFILM GFX100
レンズ:フジノンレンズ GF32-64mmF4 R LM WR
照明:GODOX AD300Pro/AD200/TT600
撮影地:自宅ガレージ ビニールプール

紫陽花が浮かぶ風景からインスピレーション

神社の手水に紫陽花が浮かんでいるのを見かけてとても美しいと感じ、この中に埋もれてみたいと思いました。そこで、紫陽花を大量に購入し、自宅の浴槽とガレージに置いたビニールプールに浮かべて撮影しました。作品を展示することにハマりはじめたころ、額縁など、何に写真を展示するかで作品の見え方が変わってくると感じました。今回は、同じ紫陽花をモチーフにしながら、ふたつの展示パターンをイメージして制作しました。1枚目はアクリルパネルに写真を貼って透明感を演出するイメージ、2枚目は金色の額に入れて飾る油絵のような写真を意識して撮影しました。


Point 1 紫陽花を美しく写す

花を美しく写すため、お湯は使わず、水を使用しています。水に浸かっている間は体力が必要なため、撮影現場のすぐ近くに飲み物を用意し、こまめに水分補給を行いました。


Point 2 洗面器を浮かべてピントを合わせる

ピント合わせは、逆さまにした洗面器を水に浮かべて行いました。浴槽で撮影した作品(1枚目)の場合、写す部分はバストアップだけだったため、手で顔の周りに花を寄せながら撮影。プールで撮影した作品(2枚目)は全身が写りますが、プールはあまり大きくなかったため、体を小さく丸めて撮影しています。


Point 3 紫陽花も綺麗に写るライティング

浴槽の作品では個展の差し入れでいただいた青色の入浴剤を使用し、ストロボ2灯を天井バウンスさせて撮影しました。プールの作品では子供用プールに黒い布を敷き、全体に光を回しつつ、水面に反射しないようライティングを組みました。俯瞰からの撮影になるので、寝転んだ時に顔の写りがよい画角を探してカメラを固定しています。


【撮影の裏側エピソード】紫陽花を切ったら時間勝負

紫陽花は切花にすると水を吸う力が弱く、長持ちしないため、切ったらすぐに撮影する必要があります。今回は花屋で紫陽花を6株購入し、撮影の直前に花の頭を全て切り落として撮影しました。いつか大きな庭のある家を購入し、紫陽花をたくさん育てて撮影に使いたいです。


 

#セルフポートレートの裏側 撮影もモデルも全部わたし。

 

著者プロフィール

Rinaty

 

 

 

 

 

 

 

Rinaty

元土木系公務員。 自分自身を撮影するセルフポートレート写真家としても精力的に活動中。 撮影の裏側の様子がSNSで話題になり、数多くのメディアで取り上げられている。 セルフポートレート撮影によって身につけた技術を活かし、全国各地で写真セミナーやフォトウォークを多く開催する他、専門学校にて非常勤講師としても活動している。

ウェブサイト Rinaty Photo Studio
X(旧Twitter)@rina_k_photo
Instagram @rina_k_photo

 

 

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