インスタグラムを活用して商品の販売促進を行っているショップや会社は増えています。そのためにフォロワー数の多い人気インスタグラマーに「美しい」「目立つ」「映える」商品写真撮影を依頼するといった流れもあります。しかしながら、そもそもインスタグラムは無料で利用できるSNSです。できれば自分で撮影して、宣伝予算を抑えたいものです。自社の商品の魅力を伝え、より多くの人に見てもらえるような写真を撮るにはどうしたらよいのでしょうか。
「インスタグラム 商品写真の撮り方ガイド(技術評論社)」は、3人の人気インスタグラマーが、インスタグラムユーザーに向けた商品写真の撮り方を伝授する書籍です。
本記事では、「売れる商品写真について考える」からアドバイスを抜粋して紹介します。
SECTION 02 売れる商品写真について考える
本来インスタグラムは、フォロワーとの間で写真を使ったコミュニケーションを楽しむための場です。商品を売ることを目的とした商品写真の投稿は、利用者にとって主張が強い情報とみなされ、内容も見られずにスクロールされてしまいます。その中で商品写真を見てもらうには、宣伝目的と思われない自然な写真に仕上げ、フォロワーが自分ごととして受け取れるようにする必要があります。
01 共感できない写真は飛ばされる
「商品写真」と聞いてまず思い浮かぶのは、真っ白な背景に商品だけが写っている、お店の商品カタログに載っているような写真ではないでしょうか。カタログに載せる写真であれば、商品の詳細を知ることができ
るこうした写真の方が適切です。
しかし、インスタグラムに投稿する場合、こういった写真は画面の中の違和感として認識され、すぐにスクロールされてしまいます。それを防ぐためには、テーブルを背景にして生活感を出したり、副題と組み合わせて使用シーンをイメージできる演出を加えたりして、見た人が「自分もこの商品やサービスでこんな生活をしてみたい」と、共感することができる写真に仕上げる必要があるのです。
これまでの商品写真
本書で目指す商品写真
02 共感写真による購買効果
下の写真は、ある企業の商品をインスタグラマーが撮影したものです。通常の商品写真ではなく、本書で目指す写真の雰囲気に仕上がっています。横のグラフは、その企業のインスタグラムアカウントの投稿ごとのエンゲージメント数です。通常の広告写真に比べ、インスタグラマーが撮影した写真を投稿した際には、エンゲージメントが大きく伸びているこ
とがわかります。
もちろんタグや投稿のタイミングなども関係しているため一概には言えませんが、「自分に関係があると思わせる写真」がインスタグラム上で強い共感を生むことを、このグラフが示していると言えるでしょう。
この写真はインスタグラマーが撮影した写真。
グラフは、通常の宣伝投稿と、インスタグラマーが撮影した生活目線の投稿のエンゲージメント数の変遷です。
03 使用イメージで共感を生む
写真を使って共感を生むためのもっともかんたんな方法は、「使用イメージを撮影すること」です。実際に商品を使用しているシーンを撮影することで、見た人に「自分が使ったら……」とイメージしてもらうことができます。
使用イメージの見せ方には、「商品の魅力」(前回の記事)と同様、機能的な見せ方とデザイン的な見せ方があります。例えば時計なら時間を見るという本来の機能に加え、身に付けることでオシャレに見せるファッション的な要素も強いです。商品の特長に合わせて、どちらの要素を見せるのかを事前に決めてから、撮影に臨むとよいでしょう。
機能面を見せる
デザイン面を見せる
04 価値観で共感を生む
共感を生むためのもう1つの方法は、「かっこいい」「かわいい」といった価値観を写真によって表現する方法です。それらの価値観に訴える共感写真は、「こんな風になりたい」「こんなシーンに身を置きたい」と、見た人に憧れや発見を与えることができます。写真で表現する価値観の内容は、撮影する商品のブランドイメージや、ターゲットとする人の性別、年齢層などがヒントになるでしょう。商品を見てもらいたい人が共感するであろう価値観を、写真の中に盛り込んで撮影します。