「確定申告」は、国税である所得税を自ら計算して、税務署に届け出るための手続きです。「税金を正しく納めるための仕組み」であり、知っておくと便利ですが、いまいちよくわからない、と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「駆け出しクリエイターのためのお金と確定申告Q&A」(桑原清幸・著)では、税金の基礎や収入の区分、帳簿の付け方から節税のコツまで、確定申告にまつわる素朴な疑問について、ケースごとの事例を交えながら、詳しく解説しています。
本記事では「源泉徴収」「源泉所得税」に関するQ&Aを紹介します。
Q.
デザイン事務所で働いています。空いた時間で、友達の会社のウェブデザインを手伝いました。報酬は5万円という話でしたが、会社宛に請求書を出すにあたり、源泉を引くよう指示されました。そもそも源泉っていったい何なのでしょうか? ぜんぜん意味がわかりません。
A.
源泉とは、正しくは「源泉徴収」という名称で、報酬が発生した時点で国が所得税を先取りするしくみのことです。
「源泉徴収」とは、文字どおり、(お金が生じる)みなもとから、(税金を)取るという意味です。例えて言えば、富士山の雪解け水が流れ出る源流までさかのぼって、おいしい水を汲むようなイメージですね。つまり、「源泉徴収」とは、税金を取りやすい最初の段階(報酬が発生した時点)で、国が先取りしてしまおうという制度なのです。
後払い、つまり、会社が報酬を全額払った後に、国が皆さんから税金を取ろうとしても、皆さんが全部使ってしまっていたら、国は取り損ねてしまいますね。源泉徴収制度は、国が皆さんから上手に税金を取るために考えたしくみで、取る側としては賢い方法といえます。
言いかえれば、本来あなたが「個人」として国に納めるべき所得税を、報酬を払う側の「会社」があらかじめ天引きして、あなたの代わりに国に納めるしくみをいいます。ちなみに会社が天引きした所得税のことを「源泉所得税」といいます。
「源泉徴収」するのは、会社の義務とされています。義務とされている以上、源泉徴収しないと「会社」が税務署からペナルティを受けます。一方で、あなたは報酬をもらう側なので、何もする必要はありません。あなたがもらう報酬(額面、総額)から、約1割が税金として天引きされて、残った約9割が手取りとして振り込まれるのです。
源泉徴収の税率は、正確には10.21%です。以前は10%でわかりやすかったのですが、東日本大震災の後から「復興特別所得税」として、0.21%が追加で徴収されています(平成49年まで)。なお、同じ人に対して1回に支払われる報酬が100万円を超えると、100万円を超えた部分については20.42%と税率が2倍となります。100万円を超えるような高額な報酬をもらったときは、高い税率で天引きされることを覚えておきましょう。
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<著者の新刊>
本書の著者・桑原清幸さんの新刊「駆け出しクリエイターのためのお金と独立準備Q&A」が10月29日に発売されます。本書と併せて、独立後の仕事とお金の管理に、是非お役立てください。