山田淳子写真展「島々の記憶 〜故郷への想い、巡る旅〜」

富士フイルムフォトサロン札幌にて、山田淳子写真展「島々の記憶 〜故郷への想い、巡る旅〜」が開催される。会期は、2023年2月3日(金)〜2月8日(水)まで。

北海道東部、歯舞群島で一番大きな島である志発島。現在、北方領土と呼ばれている場所にある。北方四島には、1945年に17,000人ほど島民が住んでいた。旧ソ連軍の侵攻後、1948年までに強制退去させられた。ここには、山田淳子氏の曽祖母と祖父が住んでいた。
「島のことを今の若い人たちに知ってほしい。今の若い人たちに島を見てほしい」という親族の想いを受けて、作者は北方四島の元島民の写真を撮り続けてきた。今回の展示では、島を離れて北海道に住む元島民たちのポートレートと、過去に自ら訪れた色丹島の写真で構成して展示する。

2019年6月色丹島
<ステートメントより>
私の曽祖母と祖父は1945年まで歯舞群島の中の一番大きな島である志発島で暮らしていた。
祖父が生まれる前に曽祖父は海の事故で亡くなり、曽祖母は子供を育てるために富山から島に渡ったと聞いている。
私が生まれる以前に曽祖母は亡くなり、祖父からも一度も島のことを聞かぬまま、祖父も亡くなった。
2018年に父の従兄弟から曽祖母や祖父のことを聞く機会があった。
「島のことを今の若い人たちに知ってほしい。今の若い人たちに島を見てほしい」という父の従兄弟の想いを聞いた時に元島民の現在の姿を写真に収め、その人の島の記憶を聞く旅に出ようと決意する。
現在までに40数名の元島民の写真を撮影し、現在も撮影を続けている。
この中から北海道在住の元島民のポートレイト(2019年より撮影を開始して現在までに撮影したもの)と2019年に私が実際に訪問した色丹島の写真、2020年の航空慰霊、2022年の洋上慰霊の写真を展示する。
2022年に撮影した写真の一部は旧ソ連時代にウクライナのアーセナル工場で生産されていたレンズを用いて撮影をしている。
このレンズ自体が過去の戦争に翻弄された歴史背景があり、このレンズを通して見える風景を捉えてみたいと思い、洋上慰霊の際に用いた。
現在、ロシアのウクライナ侵攻の影響で墓参など全てが中止となっている。
私たちは島に行くことすらできなくなってしまった。
間も無く、戦後80年を迎えるにあたり、1945年に17,000人ほどいた島民の多くは亡くなった。
戦争で故郷を追われた人々がいる。
そして歴史は繰り返している。
この写真展を通じて戦争、故郷について何かを感じてもらう契機となればいいと思う。
(山田淳子)

勇留島元島民(根室在住)
2022年7月洋上慰霊
羅臼国後展望台より国後島を臨む

<写真展情報>

山田淳子写真展「島々の記憶 〜故郷への想い、巡る旅〜」
会期:2023年2月3日(金)〜2月8日(水)
時間:10:00〜18:00
住所:〒060-0042  札幌市中央区大通西6丁目1番地 富士フイルム札幌ビル1階
TEL:011-241-7170 (受付時間:平日10:00~18:00)
※ 2023年2月7日の北方領土の日を含む期日での開催

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