ふだん写真は撮っているけれども、どうも納得できる写真が撮れない。そういう思いを抱く人は多いのではないでしょうか?写真家の大村祐里子さんは、フォトテクニックデジタルの連載「大村祐里子の身近なものの撮り方辞典」の中で、日常的な風景を独自の視点で見つめて写真作品をつくる方法を教えています。
「身近なものを作品にする」大村祐里子さんの撮り方辞典、第46回のテーマは「飛行機」です。
「大村祐里子の身近なものの撮り方辞典」が書籍にまとまりました。本連載で取り扱ったテーマに加えて、新たに「クレーン」「炭酸」「排水溝」など合計100テーマを収録。日常の中で目にする、しかし被写体としてはあまり気に留めない様々なモノたちを記録する一つの視点を提案します。
撮影のポイント
1. 空港で撮る場合は、機体と周囲の情景の調和を最も重視する。
2. ミラーレス機でサイレントモードに設定。
アメリカの空港で見た朝焼けです。紫とオレンジのグラデーションが美しい空と、飛行機の白い機体に、なんとも言えないよさを感じました。
機体と情景の調和を最重視
私の中で、飛行機は空港に住んでいる「鳥」です。「飛行機を撮るぞ!」と構えると、なんだか難しく感じてしまうので、空港の鳥を撮るぞ、というテンションで臨んだ方が気楽に撮れるのではないでしょうか。飛んでいる飛行機を撮る時は、この位置に鳥が飛んでいたらいいなと感じるところでシャッターを切ります。空港内に留まっている飛行機を撮る時は、機体がその場の情景とうまく調和しているかどうかを重要視するとよい感じになります。
機内ではサイレントモード撮影
飛行機を撮る時にぜひ試していただきたいのは、機体の中からの撮影です。窓側に座った時は、滑走路から離陸までの時間は窓にはりついてみてください。窓の外に見える他の機体を、普段とはまったく違う視点から切り取れます。特に、離陸して間もない時に滑走路の方を眺めると、離陸を待つ他の機体を、まるでミニチュアのように撮影できて、とても面白いです。静かな機内では、ミラーレス機を使い、シャッター音の鳴らないサイレントモードで撮影しましょう。
鳥があのあたりを飛んでいたら面白いな、と感じるところで撮りました。実際、飛行機は遠い距離なら鳥よりも速度が遅く見えるので、撮りやすいです。
新千歳空港から離陸した直後に撮影したものです。一面の雪のなか、滑走路だけが黒く露出しているのが面白いと感じました。また、そこに、滑走路を移動する白い機体がやってきたので、チャンス! と思いシャッターを切りました。
機内も意外とフォトジェニックだったりします。暗い機内に、丸く小さな窓から射し込んでくる光はとても綺麗です。乗客や座席を立体的に見せてくれるなあ、といつも思っています。撮影する時は他のお客様の迷惑にならないようにしましょう。