オールドレンズ・ライフ
第34回

「重ねて使う」マウントアダプターの改良モデル

かつてフィルムカメラで使われていた交換レンズは、現在においては「オールドレンズ」と呼ばれ広く親しまれています。

レンズは「写真うつり」の多くの部分を決める要素ですが、オールドレンズの世界においては、必ずしも画面のすみずみまではっきり、くっきり写ることだけが良しとされるわけでもありません。レトロな外観と個性的な写りも人気の一因です。

シリーズ10冊目となる「オールドレンズ・ライフ 2020-2021」では、現行のデジタルカメラで沈胴レンズを使う「沈胴レンズクロニクル」、あえてフレアやゴーストを発生させるレンズを使う「Flare Ghost Collection」などの特集を掲載。各レンズの特徴から装着前に押さえるべき注意点、実写作例など、レンズ沼のほとりに立つ人々の背中を押す内容となっています。

本記事では「OLL Pick Up」より、新型ライカMでオールドレンズを使う際に用いるマウントアダプターの例を紹介します。

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オールドレンズ・ライフ 2020-2021

改良してTECHART LM-EA7に対応

テックアートLM-EA7に改良版アダプターとヘリオス-44-2 58ミリF2を装着。これで干渉を心配せずにヘリオスがAF動作する。

K&Fコンセプトが一斉にライカMマウントアダプターを刷新した。理由はテックアートLM-EA7に対応するためである。LM-EA7はマウント面を前後してAF動作を実現するマウントアダプターだ。レンズ側マウントはライカMマウントを採用しているが、別途マウントアダプターを追加することで他マウントのレンズも装着できる。この二段重ねのセットアップの際、ライカMアダプターとLM-EA7が干渉してしまうケースがあったのだ。

LM-EA7と確実に二段重ねできること。この命題をクリアしたのがK&Fコンセプトの改良型ライカMアダプターというわけだ。他社マウントアダプターのために既存モデルを刷新するのは、相当な大英断と言えるだろう。

K&F Concept KF-42M2 税別価格:4,000円 テックアートLM-EA7と併用可能なM42マウントアダプター。内側を塗装し、内面反射を防止する。真鍮パーツで耐久性にも配慮した。
KF-CYM2 税別価格:4,000円 改良型のヤシコン-ライカMマウントアダプター。テックアートLM-EA7に干渉せずに装着できる。ヤシコンツァイスがAFに化ける。
KF-SRM2 税別価格:4,000円 ミノルタMD/MC/SRマウントアダプターを改良し、テックアートLM-EA7で安全に使える。ロッコールファンには朗報だろう。
従来品はテックアートLM-EA7に二段重ねすると干渉するものがあったが、改良版は干渉せずに装着できるようになった。

オールドレンズ・ライフ 2020-2021

著者プロフィール

澤村 徹


(さわむら・てつ)
フリーライター・写真家

マウントアダプターを用いたオールドレンズ撮影、デジタルカメラのドレスアップ、デジタル赤外線写真など、ひと癖あるカメラホビーを提案している。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。玄光社「オールドレンズ・ライフ」の他、雑誌、書籍など数多く執筆。

書籍(玄光社):
オールドレンズ・ベストセレクション
オールドレンズ・ライフ 2017-2018
マウントアダプター解体新書
作品づくりが上達するRAW現像読本

ウェブサイト:Tetsu Sawamura official site
Twitter:@tetsu_sawamura

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